第8話 双翼の剣

「お姉ちゃんはこっちにいる!一緒に来て下さい!」


そう言って女の子は足早に進む

闘熾と零奈はその子についていく。周りが暗く見失ってしまいそうになる。

この女の子の名前はなんだろう。まだ聞いてない、そう思い女の子に尋ねる


「私の名前…?名前はまだ無いです。ご主人様につけてもらわないといけないんです。」


名前をつけてもらえなかったのかな。それとも忘れてしまったのか、理由については聞かないことにした。


しばらく女の子に連れられ歩いていると、辺りから地鳴りがすることに気がついた。鈍い音だ。外で大きな魔法を放っている?大きなモンスターが動いているのか?本当に暗いというのは不便なものだ。何もわからない。


「お姉ちゃん!いた!無事だった!」


と、大きな声で叫ぶ女の子。目の前を確認してみると、同じように剣が刺さっている以外には何もない。やはり女の子の正体は剣なのだろう。


「今、助けてやるからな。ん…!んぐぐ…!」


シャッ

剣が抜ける音がした


闘熾は同じことを二度も繰り返すまいと、倒れそうになるが踏ん張って耐えた。

目の前には金髪の女の子がいる。黒髪の子と同じくらいの年齢に見える。


「ご主人様…。また会いに来てくれたの?嬉しい…。」


この子も同じようなことを言う。

闘熾にはこの子たちと会ったという記憶はない。なんなのだろうか、誰と勘違いを?

そんなことを考えていると、先程の鈍い音が近づいてくる。気を薙ぎ倒しながら近づいてくる。


「まずいです!ご主人様!私たちを使ってください!」


黒髪の子が焦りながら言う。


「つ、使うってどうやって!とりあえず早く逃げないとまずいんじゃないか?!」


闘熾は余計に焦り始める。

焦っている2人を見て、零奈はどうすればいいかわからなかった。


「私たちに名前をつけて、名前をつけて『召集』を使って!」


金髪の子は冷静だった。

      コール

それにしても『召集』ってなんだ?訳がわからない。名前なんて適当につけていいものなのか?闘熾は動揺しながらも、2人に命名した。


「え、えーと、黒髪の子を『アル』!金髪の子を『エル』と名付ける!!」


2人に『アル』と『エル』と名付けた。


「アル!エル!コール!!」


2人の姿が変わっていく。二つの剣の姿へ変わっていった。直後、手元に飛んできた。


ー双翼の剣を装備しましたー


二つの剣は決して軽くはなかったが、片手で振れないほど重くはない。

ウィンドウが更新された。


ースキルを譲渡されました。スキル『ステータス開示』×1を獲得しましたー


「今私たちの意識からスキルを譲渡しました!それで彼奴のステータスを見て下さい!」


「ただしそれは今回の一度しか使えないわ、間違えて違うもののステータスを見ないようにして。」


ステータス開示スキルを使用した。

目の前の大きなモンスターのステータスを見て驚いた。自分たちと比べ、強すぎるのだ


森の主lv.67

激怒状態

➖攻撃力 586↑300

➖防御力 751↑210

➖魔力  304

➖魔法防御 643

➖幸運値 240


硬い!それに攻撃力が高い!


「ご主人!戦って!私たちを使えば大丈夫!」


いやいやいや!大丈夫って何が?!レベル差63もあるんだぞ?俺たちの攻撃が通るのか?!


「そこの女の人!あなたは魔法で援助攻撃をお願いします!」


零奈はわかった、と頷く


「ご主人様!初めから全力で行きますよ!」


『神力解放!』


2人の意識が頭の中に流れ込んでくる。体のパワーが溢れ出てくるような、体がとても熱い。いや、どちらかというと寒い。体の感覚がどんどん失われていく気がする。


「お姉ちゃん!何かおかしい!ステータス変化値が異常だよ!」


「波長が合っていないの?!でも、ここまで偏ることは……。」


荒宮闘熾lv.4

職業:勇者(職業lv.1)

➖攻撃力 824607↑

➖防御力 −375942↓

➖魔力  743091↑

➖魔法防御 −587012↓

➖幸運値  −35194↓


自分でもステータスを確認していた。攻撃に特化しすぎている。そう確認した途端、完全に体の制御ができなくなるのを確認した。とても寒い。


どんどんステータスが変化していく、何が起こっているのかわからない。


「まずいよ!お姉ちゃん!これってまさか!」


「まさか、神力解放をしてこんな化け物を産んでしまうとは…思わなかったわ…。」


荒宮闘熾lv.???

職業:???

➖攻撃力 ERROR

➖防御力 −999999

➖魔力  999999

➖魔法防御 −999999

➖幸運値 −999999



神力解放をして、このようなステータス異常を巻き起こす人は1億年に1人出るか出ないかの確率だ。そううっすらと聞こえて来た。

このようなステータス異常をしてしまう悪魔の体質、そのようなものを古来からこう伝えられている。


       ゴッドイーター

      ー神を喰らいし者ー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る