第2話 国王の間

「あぁ、勇者様よ…、どうか、我々をお救い下さい…!」


 2人は顔お見合わせる


「まずは国王陛下の元へお連れいたします。後について来てください。」


 道中、窓からは中世のような街並みが覗いている

異世界に憧れるならまず興奮しないことはないだろう


「おぉ!すげぇ!これまじで異世界じゃないか?!」


「とりあえずその夢叶って目を光らせるのはやめよ?子供みたいだよ。」


 零奈は興奮する闘熾をみて少し呆れる


「ちょ、なんだよそれ!」



「国王陛下!勇者様お二人をお連れいたしました!」


「あぁ、中へお連れしろ。」


「勇者様、こちらが国王の間でございます。中へお入りください。」


 中へ入ると左右に兵士が槍を持って並んでいる

目の前には玉座に座る国王と、王女らしき人が見える


「これは勇者や、よく来られた」


(来た…っていうか強制的に連れてこられたんだが…)と心の中へ押し込める


「勇者方よ、名をなんと申すか。」


 零奈は少し違和感を感じて口を開く


「名前を聞くならまずそちらから答えるべきではないですか?」


 言い返してしまったことを少し後悔する


 ガチャッ


 兵士が槍を構えた


「…ぃっ、やばいだろおい。」


「ごっ、ごめん。」


 国王が手を挙げる


「…よい、警戒するな。」


 国王の言葉と共に兵士は槍を戻す


「確かに、聞く前に自分の名を言わねば礼儀がないものだな。私はクルス=ドレイドだ。この国、ドレイド王国の国王だ。次に其方らの名を尋ねる。よいかな?」


「んじゃ、俺は荒宮闘熾、16歳高校2年生だ。」


「私は柏原零奈、同じく16歳高校2年生よ。」


「ふむ、闘熾に零奈か。其方らには厄災から世界を救ってほしい。引き受けてはくれぬか?」


 闘熾はすんなり受け入れるかと思ったが


「でもそれって俺らにしかできねぇことなのか?実はこの国の兵士でもできる、とかないのか?」


「厄災には波がある。初めは弱いものだったから国の兵士のみでも、なんとか対処できたが、これからは厳しい戦いになるだろう。勇者には強大な力があると伝承に残されている。其方らの力がなくては切り抜けられないやもしれんのだ。」


「知らない世界の知らない人に、何かもわからないものから世界を救えだなんて…。急に呼び出しておいて世界を救えって、しかも命をかけて、それってなんか虫が良すぎない?」


 国王は困った顔をしている


「それは重々承知している。だが、勇者の力が我々には必要なのだ…。報酬も用意するつもりだ、どうか引き受けてはくれぬか。」


「ま、そこまで言われたら断れねぇか。わかりました!やりますよ、もちろん!」


「ちょっと闘熾!」


 国王は左に居た者に視線を送る


「それでは支度金を用意する。そこには銀貨300枚が入っている、十分装備を整えられるだろう。それでは勇者よ旅立ってくれ。」

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