花と鏡

自身と世界の境界に言い知れない違和感を感じながらも、その正体が何なのか分からないまま鬱々と平凡な高校生活を送る守。
ある日、守は誘われるがまま観に行ったバレエの公演でダンサーの蜜と出会う。
一瞬一瞬を自由に生きる蜜の、とらえどころのない魅力に翻弄されながらも心惹かれていく守は、次第に蜜の中に、自身が感じ続けている違和感の萌芽を見出していく。
おぼろげに偏在する曖昧な自己は、やがてひとつの収束を試みる。
他者という合せ鏡の鏡像の終焉に溶けて消えてしまいたいと願うのは、愛か、それとも虚無だろうか。