第一話 よどみ
最後の授業が終わり、
「ねえ
鼻の奥になにかが詰まっているような、
「そうだなぁ。ちょっとだけ寄ってから帰ろうかな」
何かを期待する時、目を見開いてじっと真っ直ぐに相手の目を見つめるのが
「オッケ。
校舎は森に囲まれた
晴れた日には、美術室の窓からは
もともと絵を描くことにさほど興味がなかった
担当の美術教師はほとんど顔を見せに来ることはなく、部員数も数名だけという小さな部で、まともに絵を描いている生徒は一人か二人くらいなものだった。ろくに絵を描きもしない
「あー、なんか飲み物買ってくればよかったなー」
不満そうに唇を少し突き出しながら、リュックから漫画の本をニ冊取り出した。
文庫本より一回り大きなサイズのそれらは、真っ白く粉を吹いたような質感の表紙に小さく題名が書かれたものと、小豆色の
「はいこれ。読みたいって言ってたやつ」
「喉乾いた」
少し
「了解、アイスでいい?」
本をソファの脇へ寄せ、立ち上がった
触れ合っていた太ももの付け根あたりで、汗でしっとりと湿った
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