小屋の中で綴られる、鮮烈な黒霞

この物語の一番の特徴は、読み手に強烈に植え付けられる感情の機微でしょう。小屋に訪れるのは、様々な想いと謎を抱える人々……あるいは、それ以外も。ただ淡々と流れるような描写の中で、息を呑むほどはっきりと、しかし頭の中には黒い霞がかかったような感情の渦が巡ってしまう。私は思わず集中的に読破してしまいましたが、一日一日じっくりと寝かせながら読むと、読後の考察も相まって、更なる深みへと誘ってくれるのではないでしょうか。ただのホラーではなく、「僕」、友人、数々の客人、沢山の謎の糸が張り巡らされた作品です。夏の夜、寝る前にぜひ。

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