私は、こういう物語が凄い好きです。少しネタバレしちゃうかもしれないですが、最初から最強で、最初から何でもできて・・・。みたいな都合のいい物語があふれている異世界ファンタジー界で異彩を放つ作品です。
こういう「積み重ね」というか「人としての成長」をちゃんと書いてくれる物語は私は好きなんですが、こういう「話」は最近の読者に嫌われる傾向があるんですよね。でも、そこは、さすがカダフィさんって感じで、作品全体をコメディの雰囲気で包むことによって、その点を見事解決しています。
読者に「楽しく」読んでもらって、なおかつ、「自分が伝えたいこと」も明確に伝えている。本当に随所に「工夫」のあふれた「楽しい」小説です。読み始めたら一気に引き込まれる事間違いなしの傑作だと思います!
主人公・コウヤは現代日本に生きる会社員。
だったはずが、突然同僚のコウと共に異世界へと召喚される。
彼らを待っていたのは、魔王への対抗策を失った大国だった。
助けて欲しいと嘆願されるも、コウヤはしり込みする。しかし、コウは自ら受け入れて……
始まるのは、決死の戦い。そして、国を超えた世界との戦い。
二つの正義がぶつかる時、一体天秤はどちらに傾くのだろうか。
そして、傾いた先にある正義とは?
幾つもの思いと決意が交差し、いつしかコウヤは知らなかった世界に身を投じていく。
現在、第3章完結。第4章準備中だとか。
今のうちに、第3章までお読みになりませんか?
迫力の戦闘。くすっと笑ってしまうコメディ。他人を思う気持ち。
この世界を変える一人の男の成長を、あなたの目で確かめてみませんか?
初めは右も左も分からない上に、手に海亀ついちゃった状態で
勇者として勝手に召喚されちゃった主人公。
修行はサボりたい気満々だし、何より他所の世界の戦争になんか
行きたくないしと、やる気ゼロ。
なんとか色と欲に引っ張られてやる特訓は身につかず、
ダメダメ勇者と諦められていた彼
だけどいつしか住めば都、
守るべき人達が暮らすここが第2の故郷。
誰かが守らないと、この小さな日常も消えてしまう。
しょうがねぇ、
いっちょやってやるか。ニパッ(笑)
物語はテンポ良く、話が進むにつれてアクセルを踏み続けるように
加速していきます。
世界は魔王軍や革命軍、自国さえ良ければいい人間どもの三つ巴。
そんな世界の争いに巻き込まれながらも、常にマイペースで
いつも変わらず前に進んでいく彼は、やはり勇者なのかもしれない。
第3章は激動のノンストップアクションです。
あなたが小説を書くにあたって大事にしているものはなんですか? キャラクターを個性的にする? 設定に作り込んで凝る? 思い切って世界観を独特にする?
カダフィさんの『左手が海亀なんだが』は間違いなく勢いを大事にしているんだと思う。黒井は最初、その圧倒的な勢いに飲まれてどんどん読み進めてしまった。
本当に冒頭からものすごい勢いだから、細かい事は言いっこなしで、とりあえず勢いを楽しんで読んで頂きたい。
「カダフィさんも楽しんで書いているのだろうなぁ」というのが伝わってくると、こちらまでどんどん楽しくなってくる。
さあ、心の準備はいいですか?
あなたも圧倒的な勢いに飲まれて欲しい。