失ってはじめて気づかされるありがたみ。社会に出るというのは、そういった気づきを意味するのかもしれない。いかに島国と言えども、郷里を離れればもはや異世界かのように繰り広げられる「常識」野菜という身近なテーマだからこそ、多くの読者にとっても、作品に入り込める魅力がある。
かつての野菜だらけの生活に飽きていた主人公が都会に出て、野菜への考えが変わる話です。食生活が変わって、かつて嫌だったものが無性に恋しくなると言うところが私たちの日々の生活にもあるのではないでしょうか。もっと彼の話が見たいです。
野菜に興味なし、しかも、サラダ嫌いの主人公は農作業にうんざりして上京する。そこで、旧友のヒナと出会い……。主人公が恵まれた環境に気付く物語が、短編としてまとめられており、とても楽しめました。勿体無い、という言葉をあらためて意識する作品でした。
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