多感な時期に起きた心境の変化は、読者にも新たな世界を見出させる

複雑で痛烈なほどにリアルな人間模様を回顧的に描き出す事で、主人公の境遇への理解と共に、読者もまた自らの原点に立ち返らせられる。

純粋さからくるさっぱりとした文体と、悲痛とも言うべき現実とが、思春期を巧みに表現している。

特徴的な副題の数々、特にラスト第七回のものは、未読時から良い響きであると感じたが、様々な背景と思いとを知った時には、更に別な強い魅力が働きかける。

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