約束だよ! 君が僕に℮スポーツの楽しさを教えてくれたんだからね。

大創 淳

第一回 舞い込んだ一通のメールは、繰り返す想い出への切れた糸。


 ……そう、一通のメール。


 情報量にして三行ほどだ。


 たった三行ほどのメール。だけれどそれが……


 プツリと切れていた想い出の糸を、また繋げる。まるでネットのよう……月明かり、四角い窓から差し込んで、黄色のNPCノートパソコンを煌びやかに照らしている。そして目の当たりにする今現在の画面、その向こうにいる君に僕は問う。――どうして今頃? と、


 たった三行の君に対して、僕はその一言だけを。



 僕は梅田うめだ千佳ちか。一人称は『僕』だけど、これでもボブの似合うお目目ぱっちりの可愛い女の子。PNペンネームは『ウメチカ』で、さっきまで『書くと読む』という小説サイトで連載しているエッセイの新しいエピソードを更新していた。双子の姉の星野ほしの梨花りかと、仲直りしたことなどを無事に綴り終えてホッとしていたところ。すると、そのメールが舞い込んできたというわけだ。内容は、さっきお話した通りで……僕はね、ここから新たなるエッセイを綴ることにした。ボクッ娘が、ボクッ娘になる前のお話……GWゴールデンウィークのイベントとして『二〇二〇年夏物語』と題しているコンテストに応募することにしました。


 ママの『僕らと一緒にゲームをしたママが、二〇二〇年の夏を飾るというお話』に続いて、僕も……文字数は四千文字以内の短編を。あの日に約束したことを、今。



 ――それは、このメール画面の向こうにいる人物を示す!


 その人物……ううん、ちょうど一年前のように親しみを込めてその名を呼ぶと、


 太郎たろう君! 霧島きりしま太郎君……僕と同い年の男の子。


 前の学校で、同じクラスの子。出会いは中学生になる前。六年生の頃からだった。その頃、……その頃ね、お母さんが一番荒れていた頃で、学校では当たり前のようにいじめられて……グスッ、もう泣かないって決めたばかりなのに、もう思い出なのに、また涙ポロポロ……今と違ってその頃は、お家に帰っても誰もいなくて、一人ぼっちだった。



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