アイドル婦警とイケメン893ー落ちこぼれの面々（前・後編）

叩き上げで警部にまでなった父を持つ高城貴子は、厳格な父の期待通り、大人しく生真面目でクラブ活動に熱心に励む、負けず嫌いな性格だった。地味な雰囲気に反して、その要旨は、アイドルに似た顔立ちであり、水泳部では優秀な選手でもあった。その水着姿は、思春期の男子学生には堪らない存在だった。しかし、生真面目が災いしたのか恋愛には縁がなかった。そこに現れたのが、裏社会を謳歌するイケメンのヤクザ・五十嵐大樹。恋愛に免疫のない貴子は、別世界の男への興味が抑えきれなくなり、一線を越えてしまう。白と黒の世界。白いキャンパスに落ちた一滴の墨汁は、波紋のようにキャンパスを染めていく。いけないことは分かっている。でも、好きでいてくれる、いや、好きになって欲しい気持ちは、抑えきれない。彼に限って、と言う思いに打ち消され、…続きを読む