ポストアポカリプス群像劇

突然RPG化してモンスターが発生するようになった現代日本
モンスターにより荒廃する地方都市で主人公たちがレベルアップしながら
自給自足のサバイバルに挑む、まさかのポスト・アポカリプス群像劇として
興味深く読ませていただきました。
モンスターの存在こそオーソドックスなRPG風ながら
無人島で孤立したところからのサバイバルを強いられた主人公が
他人よりも先んじてレベルアップした事から
生き残った人々の間でリーダーシップを発揮
レベルアップを繰り返す中でこのレベルシステムの概要を試行錯誤しながら探りつつ
社会インフラが破壊された後の情勢下で
コミュニティを立て直していこうとする様子は読み応えがあったように思います。

ただ新世界篇以降、国家レベルの大きな視点での物語になっていくにつれ
一人称を離れて俯瞰的な視点での描写となるためか各国の様子など
駆け足な描かれ方になっていたのが少し残念なところでしょうか。
本来は各々の食糧フロアを箱舟に見立てて
人類粛清の更なる大災害のようなものが構想されていたのではないかな、とも邪推するのですが
大風呂敷をさらに大きく拡げる一歩手前で手堅く畳んだ印象も無きにしも非ずでした。
そこまでの展開、もしあったのであれば読んでみたかったかな、とも思います。

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