誰もが輝かしい青春を送るわけではない

「特別」な存在なのに、主人公を置いて別の道に進んでしまう友人。
ひとり取り残されながら、そして「平凡」でありながらも自分の選んだ道を進む主人公。

うまくいかない青春時代の苛立ちや幻滅、整理できない感情。
足掻けば足掻くほど、それは痛みになり、一種の馬鹿馬鹿しささえ感じさせる。
だけど、むしろそれこそが「青春」なのではないだろうか。

選んだ道を、誰がどう言おうと、誰からどう思われようと突き進むことが青春であり、それはその人の未来へとつながる。

これは2020年の物語なのだろうかと思わせておいて、紛れもなく2020年の話と気づいたとき、主人公のこれまでの道のりの重さが、胸に刺さる。
進んできた道の小さなゴールが閉ざされた時に、道を違えても寄り添ってくれる友人の存在が暖かい。

人生はこれからだ。
青春という夜が終わっても、未来という朝が来る。

鬱屈する若者への応援歌として読みました。