(応援コメントとほぼ同じですが……)前半は、「武蔵野」をテーマにした苦しみぬいた創作過程(笑)中盤は、江戸川台ワールドに入って、妄想の「武蔵野駅」の目つきの悪い駅員や村上春樹的「妙齢女性の”耳”」が出てくる。そして後半は、半ば創作を諦めたような流れに。村上春樹印のふりかけを振り掛けつつ、結局何故か江戸川台ワールドで完結する。こういう書き方もあるんだなーと感心しつつ、楽しく読ませていただきました!
「角川武蔵野文学賞」という牧歌的なフィールドに、あえて邪道オブ邪道で乗り込むその姿勢。そこまでして“書くのだ”という使命感にも似た強いエネルギーを感じる。でもちゃんと読ませちゃうところが職人芸というか「こういう戦い方もできちゃうんですよ」という妙味を見せるあたりがすごい。面白ければそれでいいじゃない。自分のテリトリー外のところに出張っていくスタイル。嫌いじゃないぜ。