廃墟に入り込んだ若者たちの行く末は……。構成の妙が冴えるホラー短編。

廃墟となったホテルに肝試しのために若者たちが入り込むところから、物語は始まります。
序盤はちょっとした非日常を楽しむ何気ない自然なやり取りをする姿が描写されるのですが、途中から意外な事実が明らかになります。
そしてさらにそこから物語が思わぬ展開を見せていき……。

淡々としてそれでいて読みやすい描写が読者を物語の中に引き込んでいきます。
俯瞰的な立場で状況を見下ろすかのような一人称は物語の展開を通じて「人間は自分自身のことは客観的に見ることができない」という事実を説得力をもって伝えてきます。

最後までドキリとさせてくれるミステリーホラーです。
ぜひご一読を。

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