相手に嫌われないために、自分を誤魔化してまでするお付き合いは幸せなの?

 半年前に既に別れた男女。
 男が復縁を持ち出そうと女を誘い、久しぶりに、お付き合いしていた頃は行きつけだった、喫茶店へ行った。
 復縁したい男は、いかにもデート……のような、しっかりとした格好。一方女は、それまでの面影は見られず、至ってラフ。

 その変貌ぶりに、男は、不安を募らせドキドキする時間を持て余していた。本当は苦手なコーヒーを舐めながら、女からの言葉をひたすら待っていた。

 女が核心をついてくる。そして、思わぬ行動に出た。

 どちらかが言い出さなければ、このお付き合いは、苦しいものになっていたはず。
 相手に嫌われたくないから、相手を想っているから、相手のために……。
 そんな想いは、優しいのかもしれない。でも、いつまでも飾りたてた姿だけを、見せ続けることはできないと思った。

 この物語のヒロインは、先に、その想いに辿りついた。主人公が辿りつくのを、半年も待っていた。

 たいせつなのは、見栄や虚栄よりも、本当の姿を互いに知り合い、互いに認め合うことではないかと考えさせられた。

 こんな経験、まだ、ないけど、こんな素敵なふたりに憧れる。

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