たぬきがツナマヨおむすびをくれた。お礼に120円置いといた。


トーキョーで黒羊の鳳仙と暮らす「湯好き、風呂最高」こと柚木呂高さんが綴る、なんてことはない日常の一部を切り取った日記集。

ふらふらとコンビニでカップラーメンを買い、川沿いで食べながらたぬきにおむすびを差し入れされる。付喪神の権現を期待してせっせと廃木材置き場から古木を集めるも「これも動かなかった」とコロッケの衣にして食べてしまう。巨大な苔むした土管に挑むも歯が立たず、痴漢と蝮の戦闘に思いを馳せてとぼとぼ帰る。

こんな何気ない日常を書いているだけなのに、どうしてだか読んでしまう。柚木呂高さんに掛かると、つれづれなる日常も形容しがたい魅力を持って描き出される。

ぱらりとページをめくるたびに非日常へと没入していく不思議な感覚が堪らない。そして考える「はて、このトーキョーは私たちが知っている東京なのであろうか――」

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