7 城
「しつこいぞ、小娘」
駄目もとで国王軍に進言しようと試みたが、門番に文字通りの門前払いを受けてしまった。
「ドラゴンだと? そんな生物がこの世にいるわけがないだろう」
歴史年表にはドラゴンに町が滅ぼされた事例がいくつか載っている。しかし、いずれも百年以上前の出来事であり、天災か戦災の比喩に過ぎないというのが通説となっている。
なかなか諦めないミリアムに、門番は声を荒げた。
「いい加減にしろ! これ以上わめくと牢屋にぶち込むぞ!」
通行人たちの視線が集まる。
(やはり無理か。余計な時間を使ってしまった)
ミリアムは歯噛みして、城門に背を向けた。
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「よぅ、お嬢ちゃん。何があった?」
髭面の見知らぬ男が声をかけてきた。傷だらけの鎧に頑丈そうな靴、腰の長剣。根無しの傭兵といったところか。
ミリアムが事情を話すと、男は「へぇ」と言って左の掌に右の拳を打ちつけた。
「面白ぇ。手を貸すぜ、お嬢ちゃん」
なぜ信じるのか。尋ねると、男は笑った。
「嘘だとしても今夜にはわかる。ちょうどいい暇つぶしさ」
遊び半分でついてこられても……と、ミリアムは眉をひそめたが、とにかく味方は味方と思い直した。今は猫の手でも借りたい。
「俺の名はアランだ。よろしくな」
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