エピローグ

第53話 わたしの気もち(アリサ視点)

 わたしは、あなたに「これからも、よろしくね」と、つたえた。

 だけど、あなたはぼんやりしていて、わたしを見つめるばかり。

 なんだかその表情がおかしくて、わたしは思わず笑ってしまった。

 すると、あなたも照れて笑い、ばつが悪そうにしながら話しだす。


「じつはそのリボン。きみの結婚祝いにと思ってあつらえたんだ。きみを想うぼくの気もちだけでも、結婚したあともアリサのそばにおいてほしくて」


 あなたの言葉に、わたしは目をまるくした。


「ただのプレゼントだと、言いはればいいのに。正直すぎるよ!」


 そう、わたしは文句を言う。でもね。あまりにも、あなたらしいとも思ったの。だから、わたしはまた声をあげて笑った。

 すると、あなたも「ちがいないね」と言って、笑いだす。

 それから、わたしとあなたは、ひとしきり笑いあった。

 そうやって、ふたりして笑いながらも、わたしは思っていた。


 あなたは言わせてくれなかったけど、わたしもあなたと同じ気もちだと。


 幼いころ、礼拝堂で『辛かったね』と言って、あなたが頭をなでてくれた。あの日から、わたしの気もちはずっと変わらない。

 あなたがくれた言葉に、わたしがどんなに救われた気もちがしたか。あなたが知る機会は、これからもずっとないだろう。


 それでも、わたしはあの日以来、あなたを――。


(了)

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異世界転生したと言い張る王女の専属書記官は落ちこぼれ?〜睡魔の魔法と人脈はチート並みに最強!無双っぽいのに何度も大ピンチに見舞われる〜 babibu @babibu

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