kindleで小説の書き方本の上位を総なめしている我那覇先生の一作です。
もともとミステリーを書かれていた作者さまなので、話の構成というかフレームワークは流石の一言で、設定の矛盾等がゼロに近い完成度の高い作品になります。
物語としては、禁断の恋というか、美女と野獣というか、そんな感じの純愛物語ではあるのですが、読み味としてはラブコメです。なので、なんというか、ラブコメをあまり読まない女性読者にも響き、ラブコメを好んで読む男性読者にも響く、ユニセックスな小説になっています。設定も今はやりの異世界恋愛という側面もありますし、色々な分野のいいとこどりをした小説であることは間違いないと思います。
コアターゲットの年齢層は10代〜30代前半だと思いますので、それくらいの年代の人にはお勧めの一作です!
ルドレンオブ国の第三王女レイナックは、城で働く侍女と王の間に産まれた不義の姫だった。そんなレイナック姫に惚れ、勝手に自分の剣を捧げるお調子者の見習い兵士タロウの正体は、人類を脅かす魔王だった。
王女でありながら中庭の小屋で寝起きし、肉親からも虐げられた環境で育ったレイナック姫ですが、性格は優しく純朴な美少女。そんな彼女の笑顔が見たいタロウは、強面の上司にイタズラを仕掛けては姫を笑わせることを習慣にしていた。
誰からも大切にされないレイナック姫は盗賊に襲われかけたり、性悪な男の元へ嫁がされそうになったり、たびたび危機が迫る。そのたびに陰でタロウが暗躍し魔王の魔力と権力を使って阻止するのです。
魔王の力でレイナック姫を自分のものにすることは容易い。しかしそれで彼女が笑顔になれるとは限らない。タロウはただ好きな女の子を笑顔にしたいだけなんですよね。男としてもなかなかできることじゃありません。
痛々しい背景を抱えながらも朗らかな日常を過ごす二人の姿が愛おしいプラトニックな恋愛ファンタジーです。
(「お姫様も楽じゃない」4選/文=愛咲優詩)