常識が全て壊された世界で、僕は僕として立っていられるのか?

読み進める度に世界の常識が壊されていき、世界という概念、現実とゲーム、人と吸血鬼、それらがどんどんと曖昧になる。

それらは時に軽快で、悪ふざけのような語り口の主人公が、いきなり来た非現実をすんなりと受け入れて、なんとなくでも前に進んで行くからなのかもしれない。

そして、人の死や金銭感覚までもが狂わされて、近しい人の死をサラリと受け入れたり、ヒロインと思われる子の為に主人公が大金をポンと出す事に僕自身が違和感を感じなくなった時、驚きと共に僕もこの壊れた世界に取り込まれているのだと気付かされた。

過剰に比喩表現したり、またに読者にまで語りかけてくる主人公の語り口こそが、本の世界とこちらの世界とを曖昧にしているのか? そう思わざる終えない。

あなたもこの作品を読んで、壊れた世界の中で、あなたがあなたとして立っていられるのか? 

ぜひ読んで確認して欲しい(●´ω`●)

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