差別と愛、そして残された『あとがき』の物語

一言で言えば美しい作品です。

序盤は場面の想像がしづらくなかなか取っつきにくい印象でしたが、1ページ完結の短編だからこそできた素晴らしい文章設計であったと今は思います。

回想がほとんどで大きな感情のうねりというのは少なかったですが、曲がりくねった”糸”を思わせる物語の進み方がこの作品の最たる特長であり、その他の要素全てを包み作品をまとめ上げる大きくて綺麗な”布”を作る才能に脱帽しました。

SFでありながら、全体を通して心の温まる短編で、一読する価値が確実にある作品です。
良い読み物をありがとうございました。