Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─

作者 MST

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★★★ Excellent!!!

 独白という形で語られる、一人の女魔道士の物語です。幼い頃より兄から虐待を受けて育ったチェントは、ずっと兄に怯え、自ら考えることも放棄して生きてきました。しかしある日、敵国にさらわれた彼女の運命は大きく変わっていきます。
 ようやく手にした力と居場所、そして誰かを愛するという気持ち。しかし、兄への憎悪の上に成り立つそれは、兄の呪縛から逃れることも出来ず、やがて復讐という形に変わっていきます。
 主人公の独白は、事実を淡々と語るだけで、そこに言い訳めいたものはありません。だからこそ、彼女の歪んでしまった人生が深く読者に突き刺さってくる物語です。

★★★ Excellent!!!

「Evil Revenger 復讐の女魔導士」では様々な心の動きがありますが、そのどれも強くはあるのですが共感もしくは理解ができました。
それは現代を生きる私たちにも通ずるところがあるからだと感じました。
故にこの作品は「ダークファンタジーの形を取った人の心を描く物語」だと私は考えます。

何より描写力が素晴らしく、すいすい読めてしまいます。
文章構成も良くできており、そのおかげでダークファンタジーにも関わらず読後感がとてもよかったです。
心を揺さぶられたいと思うなら、この作品をお薦めします。

★★★ Excellent!!!

主人公の半生を見た時、登場する人は変わるものの、人に対する視点はある種、固定化されており、それが彼女に数奇な人生を歩ませることに。

根底に垣間見えるのは、自身を悲劇のヒロインとして捉えようとする思考の癖と、それに合致しない現実世界。
「悪魔にとりつかれたかわいそうな女の子」という表現はそういった点では、終始、影響力のあるシナリオの背骨となっている。

普段からの負荷によって人格が深まるというものを戦闘訓練になぞらえているのも面白い。

克服と決別

チェントはなるほど嫌われているかもしれないが、自身から語り掛けることもなく、また反対に、豪華な待遇を得るも馴れはしないといったように、上記のヒロイン観がくまなく表現され、「見限られて楽になりたい」に。

★★ Very Good!!

心理描写が濃くも分かりやすく、いつの間にか心がリンクしている瞬間があって同じように一喜一憂する。

ファンタジー×人間ドラマが描かれていて、こういう物語があったのかと驚き。
シンプルに面白い。


ただストーリー先行で世界観設定が局所的なので、そこらへんの複雑さや伏線などを小説に求めている人には合わないかも...?

★★★ Excellent!!!

愛する父と母の死。そして、そこから始まる兄との共同生活。
妹である彼女の、チェントの視点によって語られる後日譚とも違う物語。

彼女の体験した人生、その最初から遡って、なぜそこに至ったのかを語る物語だった。

兄は妹を守り、妹は籠の中の鳥の如く、守られる立場でいる。兄は妹を守ろうと幼い身体を酷使し、その上で数々の修羅場を駆け抜けたのだろう。
幼い身に余る程の、痛みを。

兄にとって、妹とは守るもの。なのに、彼は妹を傷つけてしまった。それが、この兄妹の人生を歪ませる、あるいは狂わせる岐路であったのだろう。

兄は、英雄とも呼べる偉業を成し遂げて来たのだという。兄に救われた青年が言っていた事を、妹は到底、信じる事ができなかった。

なぜなら、兄は私に恐怖と痛みを、トラウマを植え付けた存在だから。


物語は巡って、兄妹が成長していくに連れて各国を巻き込むほどの戦争へと、世界は移り変わっていく。
その最中、妹である少女は数奇な運命を辿る事になる。それは、彼女に強さを齎すだけでなく、一粒の幸福を与えてくれた。


兄は、何かに取り憑かれたように、ひたすらに敵と定めた魔王を討たんと戦場を駆け巡る。
妹は、愛する者の為、あるいは兄という存在を克服する為、運命の渦中へと身を投じた。


これは復讐劇だった。されど、悲劇でもあった。


重厚なストーリー展開、一人ひとりの人間を描き、この物語の中で生きている様は、脳内に物語の光景を映させた。


とんでもない作品に出会えた事に、今は感謝を。

★★★ Excellent!!!

ある少女の視点で描かれる懺悔の物語。兄との関係性は悪く、自分は何も悪くないんだと信じ続けるところは、幼いながら、当然だよなと思いました。私、一度この作品を最後まで拝読していて、また再び出会うことができたのだな、と思いました。好みは別れるかと思いますが、とても深く突き刺さる作品です。オススメします。

★★★ Excellent!!!

兄と妹が、その生の濁流に流されるままに、憎み合い、遂には殺し合いに至る…
ストーリーはそれ一貫につかぬかれ、とてもシンプル。ですがる取り巻く登場人物、抗えない運命、そして最後に露わになる兄の素顔…そこに至るまでの描写が非常に重厚かつ見事で、飽きさせません。安易な救いはないと分かりながらも、読むのが止まらなくなる物語。
ダークファンタジーとだけ括るには勿体なさを感じる、人間ドラマてす。

★★★ Excellent!!!

企画参加ありがとうございます。O3です。
普段あまりレビューを書くことはないのですが、ぜひ感想を伝えたいと思い筆をとりました。
しっかり読み応えもあってキャラクター一人一人も確立されていてまさにこんなのが読みたいと思っていました。1話1話のテンポも良くて次の話へとどんど?引き込まれる感じであっという間に完読できました。
ただ、最後の展開が少々呆気ないような印象を受けました。もう少し事細かに描写しても良かったような気はしますが全体の印象としてかなりの良作です。
いいものを読ませていただきました、ありがとうございます。

★★ Very Good!!

良かった点
①看板に偽りなし
 虐待を受けた主人公が、力を得ると惨劇になる。罪の告白と謳っているので、どのような内容と期待していました。きちんと切るべき人物は切っていて、好感が持てます。物語に深みが出る入場・退場のしかたなので、上手だなぁと感じました。

②努力の上で
 昨今、何の努力もず、神から与えられた力をさも自分のものと勘違いして、横暴にふるまう主人公を多く見てきました。
 そのなかでも御作は、素質はあれど、開花するまできちんとした修行の描写をしていることが良いと思いました。
 元来、人の能力はその人間が積み重ねてきたモノの結果だと考えています。

③拡張性
 まさかの敗北エンドは驚きました。ただ、続編に繋げられるような含みのある終幕だったので、期待が持てます。尤も、この作品はこれで完結したほうが美しいのかもしれませんが。

④シンプルな能力戦闘
 ごちゃごちゃと解説の必要な能力は、読者を疲れさせてしまうものです。そこに至るためには相当の魅力がないと難しい。御作は魔法で編み出した剣と、補助を受けた浮遊盾というもので、先頭の場面を想像しやすく、読者の共感を得やすいギミックだと思います。
 ○○という理由でこの魔法剣は、鉄の剣より強い。という説明があればもっとスッキリしたのかもしれません。


気になった点
①性格
 主人公の性格が、一読して挑発的であると感じました。
 絶対的な優位を得ていない挑発は、下手をするとかませ臭を漂わせるものだと思いますので、匙加減にご配慮いただければと思います。
 兄に対して、ちょっと勢いづいた時点で挑発する行為は、これはフラグかな? と感じてしまいました。

②恋模様
 ネモさんと恋に落ちる理由が若干弱いと感じました。
 ネモさんが主人公を慕う理由は説明されていました。恋愛はインスピレーションで決める人から、長い年月を経過して気づく人など… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

環境により、人は歪んでしまう。
それがビンビン伝わってきます。
ある兄妹が主軸になって進む物語です。
妹の方が主人公で、この主人公、平和で豊かな環境で生まれて育っていれば、きっと輝かしい人生を送れただろうと思うのに、厳しすぎる環境のせいで、劣等感、疎外感、被害妄想、孤独感。
悪感情に塗れて、歪んだ人格を持って育ってしまうのです。
ですが、その後の人生で、認められる喜びを知り、愛を知って、変わっていくのですけど。
よほど、彼女の神様は彼女が嫌いなのか、どんどん過酷な運命を押し付けてきます。
最終的に彼女がどうなってしまうのか?それを見守りましょう。

最後に。

読後感は悪くないですよ。

★★★ Excellent!!!

まだ何も知らない怯えていた自分から、復讐者へ。

悲しいわけではなく、そうするしかなかったという必然性には共感が出来る。

憎しみもすれ違いもなければ、悲劇も起きなかったのかもしれない。

けれど、出来事の先にあった一つの終わりは、そうなってからでないと気づけない。

★★★ Excellent!!!

 主人公チェントが過去をふりかえる形で物語が進みます。冒頭はチェントの幼少時代から始まり、チェントという人物像、そして兄との関係性や環境がわかります。ここで物語を引き立てる重要な人物たちも登場しますがそれは後の話です。序盤の兄妹の様子は読者によって読み方が変わるかもしれません。
 そして序盤の流れが途切れぬまま、物語は一つの区切りを迎え、新たな環境のなかでチェントの変化・成長が描かれており、ここから風向きが変わり始めます。序盤で兄妹の関係性を見せておき、中盤からは様々な出会いを経てストーリーに厚みが加わります。
 ファンタジーにおいて、主人公の成長がこんなに悲しくなる物語は他に無いと思います。彼女の本性は私には断言できませんが、強くなるしかなかったのだと考えています。能動的に剣を振っていますが、何かが違えばこうはならなかったと思いました。彼女の心境の変化と人間関係にも注目してください。
 兄妹に焦点を当てた妹視点の話ですが、彼女の耳を通して兄や周囲の人物たちの気持ちを読むことが大事だと思います。また、小説として上手いと思った理由の一つに独白形式であることがあげられます。節目に自然と「その後」を匂わせることで読者は惹き付けられます。
 タイトルを読むと「復讐」という単語が出ていますが、実態は二文字でまとめることの出来ない感情で満たされています。実際に読み終わったとき、幸福感と悲壮感……他色とりどりの感情が胸を満たします。

★★★ Excellent!!!

戦いによって両親を失った兄妹はそれぞれがそれぞれを憎み戦場にて相まみえる。
各々の感情が入り乱れ、それでも戦いは終わらない。

表現が細かく戦闘シーンではひやひやしながら息をのみ画面の前で体を傾ける自分がいるとかいないとか。
とにかく読み終わるとあっという間でした。とても面白かったです。

#RTした人の小説を読みに行く、より翠恋暁でした。

★★★ Excellent!!!

 主人公のチェントが可愛くて 悲惨で 素直で 苦境に立ち、愛されて愛したいと願っているのがひしひしと伝わる作品です。

 読み始めると完結しているので、一気に読破してしまう中毒性が高い作品です。戦闘シーン(銭湯シーンはありません。)の描写もすんばらしいので、しっかり気をはってお読みください。

 頼むよ…男はがむしゃらにもがいても狂おしいほどに愛しても…幸せになれんのかいの? だが、それも人生よのぉ…

 作者様の次回作品にも期待ですね!

★★★ Excellent!!!

非常に面白かったです。読みごたえがあり、暗い雰囲気やハードな描写もこのストーリーには非常にマッチしていて、とても魅力的な作品に仕上がっていると思います。
心理描写や戦闘描写など文章のレベルは非常に高く、読んでいて勉強になりました。話のテンポもよく、これほど濃い内容のストーリーを比較的短い話数で完結させたのもすごいと思います。
先の展開が読みにくく、この話をどう終わらせるのかとても気になりながら読み進めていました。私としては非常に納得のいくラストで、ちゃんと最後まで読んでよかったと強く思いました。

★★★ Excellent!!!

独白形式で9万字、耐えられるかな?と一瞬思ったけれど、気づけば読み終わっているくらいのテンポの良さが魅力。

‪「魔の谷の戦い」あたりから表現が濃密に、丁寧になって、それがすごく好みの文体だったのもあって個人的には序盤からこの濃さで読みたかったなと思ったり、いやいや悲劇のヒロインに酔ってる主人公のいまいち状況把握できてない目を通してるっていう前提だからあの書き方なのかもと思ったり‬。

★★★ Excellent!!!

 この作品の素晴らしいところは、キャラクターの造形だと思います。それぞれのキャラクターが丁度良い魅力を持ち、無駄に輝きを見せていないので、「くどいな」と思うことはありませんでした。主人公が活躍するので読んでいて楽しい、というのもありますが、話の構造、キャラクター同士の関係性などのバランスが絶妙に保たれているのが、読んでいて楽しい、もっと読みたいと感じた一因だと思います。

 先に申しますが、望まないのであれば以降は読まないでください。私が抱いた、この作品の改善点です。お気を悪くされるかもしれないので。ネタバレも含みます




 まず、主人公が血を嫌わずに敵を斬っていくのに違和感を覚えました。幼少期に兄からの暴力を受けていれば、少なからず、自分から与える暴力に対しても嫌悪感を抱くものと思われます。それを短期間の修行、それも人間ではない獣を斬ることで、躊躇せずに人間を殺していくのは都合がいいのではないかと思います。
 次に、主人公が戦闘と周囲の人間以外に、全くと言っていいほど興味を示さない点です。もっと掘り下げれば作品の深み(?)が出るのに、という私の願望かもしれませんが、いささか主人公が戦闘狂すぎるように感じました。ネモに対して絶大な信頼と好意を寄せているとはいえ、もう少し戦闘に関連しない描写があってもいいのかな、と思います。その方が作品に緩急がつきますが、物語がハイスピードで進行していくのもこの作品の長所だと考えているので、その辺りは人の好みで分かれるかもしれません。

 高圧的な感想で申し訳ない。ですが、できるだけ率直な感想を記した心算です。またツイッターでリプでも何でも送っていただければ、作者様の作品を読んで感想を書きたいと思います。

★★★ Excellent!!!

主人公チェントの過去の記録とその懺悔として描かれている今作は、確実に一読の価値がある名作だと思います。ラストシーンは少しインディ・○ョーンズ感があって好みではありませんでしたが、それを踏まえても良い作品だと思います。

チェントのトラウマと兄に対する復讐心が本人の視点で生々しく語られており、読んでいるこちらもそのチェントの暗い感情に引き込まれていく感覚でした。怖い怖い。
また、兄ヴィレントの秘めた苦悩もリアリティに溢れていて、それが表に現れていたシーンでは本人の視点を書かずしてここまで描き切るかと、作者様の才能と現実味を帯びさせるための知識にもはや背筋が凍る思いでした。
兄妹の憎しみと呪われた運命の物語のキーとなるのは彼女たちの感情の描写であり、作者はそれを描き切った。この事実だけで今作は名作であると言いきれるのではと私は思います。

良い読み物をありがとうごさいました。

★★★ Excellent!!!

ダークファンタジーらしい素晴らしいストーリーと息を飲む丁寧な戦闘描写、とても引き込まれて、読みやすい作品でした。

登場人物人物達のほとんどがなんらかの形で主人公、チェントを守りたい、救いたいとするのですが、運命のすれ違いでそれが叶わず連続する悲劇、そして怨嗟、次はどう転ぶのか?次はどうなるのか?と読み出したら続きが気になって仕方ありません!

★★ Very Good!!

 復讐をテーマとしたダークファンタジーは、いくつも読んできたのですが、それらとの最大の差を一言で表すと、私にはひとこと紹介の通りになります。

 復讐というテーマを一人称で扱うと、どうしても「これだけの酷いことをされた主人公」と「これだけの酷いことをした敵」という色分けがされてしまい、自己正当化とも取れる「だから仕方ないじゃないか」という言葉が導き出されてしまう事が多いと感じるのですが、それがありませんでした。

 敵となるヴィレントは「仇役」として描かれており、また主人のチェントも人格的な問題があるように感じる点が描かれています。

 行き詰まるような描写は、その双方に存在し、息苦しさを覚える事も度々ですが、最後まで読んだ時、それらの描写があるからこそ物悲しい、叙事的な余韻のあるエンディングになっていると思います。

 痛快ではない、復讐の持つ負の面を描きつつ、負の面を描いたからこそ見えてくる美しい光景がある事を強く思わされました。

 復讐の是非を問わない物語を書くには覚悟が必要だと思います。

 覚悟のある作者の物語を、たまには走りきる勢いを持つ気持ちで読む…最高の気分です。

★★★ Excellent!!!

ダイジェスト感覚で読み易く、ダークでシリアスな雰囲気と洗練された文体がマッチして、非常に読み応えのある物語だった。
徐々に成長していくチェントと、母の影に囚われ自責の念に駆られていくヴィレント。熱くなるような戦闘描写と共に対峙するこの兄妹の戦いには、圧巻するものがあった。
人間らしく生々しい、ダークファンタジー。
読後に唸らせてくれるような素晴らしい作品を書き上げてくれた作者に、称賛の拍手を送りたい。

★★★ Excellent!!!

不思議な世界観と不運に見舞われた兄妹……そしてすれ違って二人は敵対することになってしまいます。
読む人を選ぶと思いますが、重めのシリアスな雰囲気がとても好きです。いがみ合い、憎み合い、そして殺し合う兄妹の行く末に最後まで目が離せませんでした。

★★★ Excellent!!!

兄妹のすれ違いが国を巻き込みあらゆる人を巻き込んでいったダークファンタジー。
偶然と必然が重なり合い、対峙し、殺し合う運命だった兄妹の壮絶な物語でした。
主人公チェントの感情がしっかりと描写されていてとても読み応えがあり、全てが残酷でありながらも美しいと思えてしまう。そんな感動作です。感服しました。

★★★ Excellent!!!

これが読み終わった今、一番しっくりくる言葉です。些細な言葉、些細な思い、些細な力が、いつしか多くの者を巻き込む想いの渦となっていく――。
チェントの生々しい感情の筆致もさることながら、戦闘シーンの描写も上手いなと思わされました。

残酷でありながら輝きを持つダークファンタジー、夏休みのお供にいかがですか。

★★ Very Good!!

読み手の想像が膨らむ濃密な物語でした。
戦闘の描写が細かく、映画のような
シーンが想像できました。

個人的には物語の終わり方が好きです。
そっと蓋をするように心を落ち着けさせる着地だなぁと感じました。
(口下手ですいません)

何が足りないチェントの思考と
壊れてしまったヴィレントの心。
すれ違うべくしてすれ違った運命は
こうも残酷で美しいのですね。

★★★ Excellent!!!

両親を失い兄と二人きりになってしまったチェントは、自分を養うため戦う兄から暴力を振るわれるようになる。彼女はそんな自分の人生を呪い、救いを求めて祈ることしかできなかった。
兄に守られ、周囲に流されなければ何もできない少女は、偶然と運命に導かれて剣士となり、やがて兄と戦うことを余儀なくされる。
愛するものを守るため、彼女は兄との戦いに挑むのだった。
か弱い少女だったチェントが色々な経験を経て成長していく姿に胸を打たれます。一人一人の登場人物の感情が強く読み手に伝わってきて、作品世界に没入せずにいられませんでした。

★★★ Excellent!!!

自らの罪を淡々と語り始めるチェント。
兄妹は何故、殺し合うほどに互いを憎まなければならなかったのか――

登場人物たちの内面が生々しく描かれていて、終始自分のことのようにゾクゾクしっぱなしでした。
バトル描写も説明口調でなく、読んでいるだけなのにその場で見ているような臨場感で物語を楽しめます。
これほどの物語をまとめ上げた作者様の力量に感服いたしました。

★★★ Excellent!!!

内容に関しては、他の方が触れているので別のご意見をば。
自分は読み手として経験が浅いので、とても癖が強い作品か、とても読みやすい作品かの、どちらかを好む傾向があります。
MSTさんの文字並びは後者であり非常に頭に入ってきやすい為、登場人物の心理描写や個性が、読んでいる側にとってとても刺さりやすいなぁと感じました。
その為、展開や人物配置が作品の個性として骨肉となっているのですが、その色合いがダークであると、今度は前者の面も押し出されている。
あぁ、小説ってこんな風に書くと伝わりやすいんだなぁと思わせていただいた作品で御座いました!
読み易い為に、押し出されているダークさが、より刺さるのだ!
俗に言うキャラが生きてる、勝手に動くとはこんな感じなのだと思います。

★★★ Excellent!!!

きっかけはほんの些細な物だった、それがいつしか取り換えの着かない傷となり、その傷が癒えることなく、二人の運命は周囲を巻き込みつつも転げ落ちていく。

すれ違いが硬直してしまった兄妹、それに群がる利己的な人々。何処まで行っても救いのない物語、これぞまさしくダークファンタジー。


「死神を食べた少女」の七沢またり先生を彷彿とさせる、色々な意味でどろどろの人情劇、いや刃傷劇は血に飢えた貴方にぴったりです。

救いのない物語を是非ご覧あれ。

★★★ Excellent!!!

チェントとヴィレント、兄妹でありながら――憎しみ合う運命にあった。
幼い頃に植え付けられた恐怖と、他の人から与えられた真っ直ぐな愛情――それは、チェントの運命を大きく歪ませ、そして二人の運命が、戦いへといざなっていく――。

一人称視点による怒涛の展開。独白による描写によって、続きはどうなるのだろうか、と読む速度が止まらなくなる。
ヴィレント、チェント、それを取り巻く無数の人物たちもまた、さまざまな気持ちを抱え、群像劇となって読者に語りかけてくる。
そして、迎える最後の展開。その後に、どういう気持ちにさせられるかは、貴方次第だろう。

何度でも思う。どうしてこうなったのだろうか、と。
そんなほどに切ないダークファンタジー

★★★ Excellent!!!

孤児となった兄妹が出会いと別れを繰り返し、最後には剣戟を振るうようになる話。
構成がまとまっていて、とても面白かったです。復讐譚とはまた違う魅力がありますね。初陣のあたりは非常に楽しく読めました。
昔の日本にも鳥居耀蔵という「蝮」と呼ばれる悪名高い南町奉行がいましたが、晩年は民に学問を教えるような敬い深い人間になっていたそうです。戦場を去ったチェントがこれからどうなっていくか――少し想像してみながら、ああ、これはいい作品だなと思いました。
また、何か読ませてくださいませ。

★★★ Excellent!!!

戦闘シーンがとても熱いです。
一人称の語り口調もあって、憎悪に満ちた一本の映画を観ているようでした。
ヴィレントとスキルドのその後が気になりますが、これだけの物語をうまくまとめた構成力は素晴らしく、最後までハラハラしながら読みました。

ダークファンタジーや剣を扱うバトルが大好きな人におすすめします。