第8話 受け継がれる血と宿命(さだめ)

 ハーツクライは欧州遠征を終えた後に喉鳴りを発症、秋のジャパンカップでディープと再戦するもその頃には歯が立たなくなり大敗。そのまま引退・種牡馬入りすることになった。

 種牡馬としては、当初こそ晩成の血統が災いしてG1を勝つほどの有力な活躍馬を出せなかったものの、13年になってジャスタウェイが天皇賞(秋)を制覇して父に初めてのG1をプレゼントした。しかも、大本命であったディープインパクトの愛娘・三冠牝馬ジェンティルドンナを打倒しての大金星というおまけ付きで。

 するとそこからはトントン拍子に活躍馬が出てくるようになり、2019年もスワーヴリチャードがジャパンカップを制したほか、冒頭に書いたようにリスグラシューがまたしても三冠牝馬であったアーモンドアイを打倒してのG1勝利を飾り、ハーツクライの血、そして「当代の三冠馬を倒す」という宿命さだめは、脈々と次世代へ、また更に次の世代へと引き継がれていくのであった。


 英雄を撃った魂の咆哮は、未だ鳴り止みはしない。

(了)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魂の咆哮〜英雄をも打倒した馬〜 緋那真意 @firry

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画