第7話 勝利へのイマジネーション
既に述べたとおり、この有馬記念におけるディープインパクトは決して本来の出来では無かった。少なくとも騎乗していた武豊や関係者はそう感じていたようで、実際の走破時計も普段のディープインパクトのものに比べると物足らないものだったと言わざるを得ない。ハーツクライの勝利は、そういった事情に助けられた側面が多分にあっただろう。
だがしかし、やはりレースは勝とうと思わなければ勝てないのだ。それがどんなに弱々しく小さなものであったとしても、勝とうという明確な意志、考えを持っていなければ勝てるものも勝てなくなる。いや、それ以前に行動しようとも思わないだろう。
そして、何よりもルメールはハーツクライの力を誰よりも深く信じていた。ハーツクライならばディープインパクトに勝つことだって出来ると信頼していた。
それらが組み合わさり形を成したとき、ハーツクライは勝っていた。誰もが不可能だと思っていたことを可能としたのだ。
この勝利により一躍ディープインパクトと並び立つ立場にまで躍り出たハーツクライは、翌年ディープよりも早く海外遠征を敢行。中東ドバイでG1を楽勝したあと欧州へ渡り、英国最高峰のレースとして知られるキングジョージでレース史上に残る程の激闘を演じることになるのだが、それらの話をするのはまた別の機会に譲りたい。
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