彼女は確かにそこにいる

真夜中の崖に二人立ち、満月の光を浴びる彼女は意地悪な笑みを浮かべてくっくっと笑いシャングリラへの憧れを嘯く。

「もし行けるのなら、私はシャングリラに行きたいわ」

それは生き場所を求める男と死に場所を求める女の物語。

かくして彼女はシャングリラに旅立ち、男は再び満月の光射すあの崖に立つ……


彼女の語るシャングリラへの憧れが本当に美しく幻想的で、確かに彼女はシャングリラに旅立ったんだと確信できる説得力があり、その最期にただただ胸が締め付けられました。
意地悪な笑みの裏に隠した彼女の本当の願いに主人公が気づいて新たな生き場所に旅立つラストも素晴らしいです。

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