持たざる少女は有終の青春に何を得る?

運動部で青春をテーマにしているのであれば、普通は主人公に実力も情熱もあって、トップを争う中での有終の美を書きたくなるものなのですが、この作品はそうではなく、実力も情熱もない、逆に嫌々惰性で部活動を続けていた主人公が最後の競技を終えて何かに気づく……
という物語になっているのがユニークで面白く、感心させられる作品でした。

最後の競技を前に緊張し、嫌がる燕さんのキャラクターの描写がコミカルかつ生々しくて良いですね。ひどく曖昧でおぼろげな燕さんの心情が丁寧に描写されていて、自分の競技が終わった後、他の競技の輝く情熱、華やかな青春を俯瞰して自分の心情と照らし合わせる情景がノスタルジックで共感できました。

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