第7話 まさかアレに意味があったとは!?
「……あの、本当にソレが原因だと?」
「はい、そうだと思われます。この世界から呼び掛ける波動が出て、それにあなたの魔力が反応し、周りが巻き込まれたのでしょう」
「えええぇぇぇぇ。じ、じゃあ、なんで頭が集中的に被害にあったのかも分かったりします?」
「はい、そうですね。考えられるのは、そこからが一番、あなたとの魔導回路をつなげて魔力を吸収するのに都合が良かったからじゃないでしょうか?」
「な、成る程?」
う~ん、分かるような分からないような……分かりたくないような。
「ところでケイイチ、今何か体に支障を感じる事はありませんか?」
「ああ、異界渡りをしたからですか? 特に後遺症のようなものは無いと思いますけど……」
「いえ、そうではなくて……。勿論、その事もですが、それ以上に心配な事がありまして……」
イヤイヤもう十分なんですけどっ。
現実を受け止められない事を色々と聞かされて、もうお腹いっぱいなんですけど!? これ以上がまだ何かあるって言うのか? 怖いって。
でも、聞かないわけにもいかないか……嫌だなぁ。
「な、なんでしょうか?」
「魔導回路が繋がった事によって、あなたの寿命は聖獣と同じだけに伸びました。百年か千年か……その期間は聖獣の種類にもよるので不明瞭ですが、それに伴い、異変がないかと心配だったものですから」
「え」
なんか今、すごいことを聞いたような……?
「その上、今はそうしてあなたの魔力を吸って順調に成長している卵ですが、じきに魔力不足になる可能性がありまして……。そうなると、二人とも共倒れで、最悪は死を迎えてしまう危険性があります」
「共倒れで死ぬ」
「ええ。一度回線がつながると、聖獣とその半身は一生涯、引き剥がせませんので」
「ずっと一緒」
「はい。聖獣と魔導回路が繋がったという事は、命を共有するということになるんですが……あの、大丈夫ですか?」
「いやちょっとあまりの衝撃とファンタジー感についていけなくてですね。頭がパンクしそうになっているんですよ、ははははは……」
大体、百年とか千年とかの寿命って何だよ!?
魂の半身とも呼べる聖獣を生死を共にするって、そこまでの事だったのか?
それに異世界に来て、こんなにすぐ死亡フラグが立つとも思わなかったし!?
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫かどうかと言われると全然大丈夫じゃないですけれども、とりあえず大丈夫です」
「無理すんなよ、ケイイチ。いきなり色々言われて大変だろうけど、出来るだけ俺達も力になるからさ」
「ありがとう、アルフレッド」
リア充だしちょいちょい腹立つけど、基本、いい奴なんだよな。
「それじゃあ早速ですが、お聞きたいことがいくつかあります。聖獣と一緒に生きる為に俺はどうするべきか、最善は何かを……ご存知でしたら是非、教えていただきたいのですが……」
「はい、勿論です。そうですね……今、一番大事なのは、あなたの魔力が足りなくなる前に、精霊樹の元に向かうことかと思われます」
「精霊樹、ですか?」
おおっ。又々、ファンタジー臭漂うものが出てきちゃいましたよ、これ。
――俺、最後まで話についていけるかな……ものすごく不安だ。
そんな気持ちは顔に出ていたようで、敏感に感じ取った神官さんが異世界人の俺にでも分かりやすいようにと、詳しく説明してくれた。
何でも精霊樹というのは、聖獣にとって成長する上で欠かせないといわれるほど、とても重要な樹らしい。
聖素と呼ばれる、聖獣が成長するのに必要な聖なる魔力に満ちた力を常に放出しており、そこでならば十分、卵が孵るのに必要な栄養素が摂れるんだとか。
その上、近くにいれば魔導回路を通じて圭一の魔力を摂取し過ぎるのを抑制することも可能になる。
何故なら聖素は、聖獣の半身である圭一にも吸収でき、それを自身の魔力に変えられるからなのだという。つまり、共倒れになるのを防げるのだ。
「成る程。よく分かりました。じゃあ早く、その精霊樹の所へ行かないとですね」
「はい、それが一番いいと思います」
「それで……その精霊樹っていうのはどこにあるのか、神官さんはご存知でしょうか?」
「詳しい所在地まではちょっと……。ただ、人族が寄り付かないような辺境の……例えば野手溢れる森の中にあることが多いらしいです。私も直接見たことはないのですが、伝え聞くところによると非常に美しい樹らしいですよ。神の恩寵により、実物を知らなくても一目見ただけで精霊樹だと分かるようになっているんだとか」
「へぇ、不思議な樹なんですねぇ」
他にも精霊樹の周りは、聖なる気が強すぎて魔物が近寄れないという事や、 樹が放つ聖素に惹かれた精霊が、いつも沢山集まっているということも教えてくれた。
ただ、この世界の精霊達は、常ならば気にいった人にしか姿を見せないらしいが……。
「聖獣の半身であるケイイチにならば、問題ないでしょう」
「そんなもんですかね?」
「ええ。むしろ、向こうから喜んで近寄って来てくれますよ。基本は四大元素を司っている力のある存在で、大きさとしては手のひらサイズ程しかありません。とても愛らしいそうですよ」
その姿は大抵、羽の生えた小さな子供とることが多いらしい。地球上で想像されていた、可愛い方の妖精と似通った姿をしているみたいだ。
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