ネコに祈りを

 先日の夜、娘が突然「やばいことに気づいてしまった」と言い出しました。


 私「何?」

 娘「うちのネコって…………神じゃね?」


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 割と早い段階から気づいてはいたんですよ。

 ネコは神だって。

 いや、正確に言うと、神に近い存在なんだって。


 このエッセイでずっと「ネコ」の表記を貫いてきたのは、「猫」より「ネコ」のほうが獣っぽさが薄れ、より象徴性が際立つと考えたからです。

「神」という漢字の中に「ネコ」が入っているから、とかそういう単純な理由ではないのです。それもあるんだけど。



 ネコには、不思議な魅力があります。


 何と言っても、かわいい。

 まず、デザインがやばい。

 逆三角形の顔に三角形の耳とか。

 アーモンド型の大きな目とか。

 しなやかだけど筋肉質な体とか。

 美しい毛並みやルーズスキンとか。

 丸いおててや、小さな歯とか。

 鼻とか。ヒゲとか。しっぽとか。

 どこをとっても完璧にかわいい生き物って、そういないと思うんですよ。尻の穴ですらかわいいですからね、ネコは。

 外見だけじゃなく、ひとつひとつの仕草も、狙ってるとしか思えないくらいかわいいです。

 もうこれは、愛されるための……いや、崇められることに特化したデザインです。

 神に姿があるのなら、きっとネコに近いお姿をしておられる。そう思ってしまいます。


 そして、賢く思慮深い。

 気ままに過ごしているだけのように見えて、思いのほかいろいろなことを観察し、考えている。

 不平不満も言わず、自身の喜びにフォーカスし、どう思われようが気にしない。

 過去を振り返らず、かといって先のことを無闇に考えることもせず、思考を次々と切り替え、常に「今」を生きている。


 何より、人を愛し、幸せにしてくれる。

 ネコにもらったものは、育児で得たものに匹敵するほどです。

 彼らに育児を助けられている面もあるから、それより大きいと言えるかも。


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 娘に「うちのネコは神」と言われたとき、私は驚きました。けれどもすぐに、それも当然だとうなずきました。

 ネコと一緒に暮らしている以上、その結論にたどり着くのはもはや自明なことだったからです。


 私「なんでそう思うの?」

 娘「だってうちのネコ、めっ…………(息止め中)…………っちゃかわいいから!」


 言い終わった後ではあはあと息を切らす娘。全くその通りだね。


 でもね、娘。うちのネコだけじゃないんだよ。


 世界中のネコが、「神」なのだよ。

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ネコに祈りを。 七海 まち @nanami_machi

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