魔力回収機構 終末のアトリビュート

作者 七海 まち

10

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★★★ Excellent!!!

美術品の主題と結び付いた魔力の残滓によって、人々が異常な行動へと駆り立てられる世界。
その魔力を回収するのが、魔力回収機構に所属する回収人。そんな彼らは、彼らは魔力を持って生まれた、稀人と呼ばれる存在でした。

その特異さ故に、悪魔や化物のように見られていた稀人。それは回収人という役目を与えられても完全に払拭されることはありません。

本作の主人公イザヤも、そんな稀人の一人。同じく稀人であるエレミヤと、非常に変わった形でパートナーを組むことになり、二人で魔力を回収していくのですが、魔力を探す過程が実に丁寧。

魔力に取りつかれた人々は、実在したどれかの美術品の主題に沿った異常行動を起こすのですが、もちろん最初からその全てがわかっているわけではありません。
奇妙な事件から、どんな美術品が関わっているか、取りつかれている人は誰なのか、イザヤやエレミヤがそれぞれ考え少しずつ真相に近づいていくところは、謎解き要素満載で、バディものとしての面白さがあります。

そして真相がわかればそれで終わりというわけではなく、関わった人達がどうなっていくのか。そして、それを見たイザヤ達の心に何を残していくのか。
単純なハッピーエンドでは終わらない物語が、イザヤ達と読者の心に問いかけて来るようでした。

★★★ Excellent!!!

魔力の暴走により、一度滅びかけた世界を舞台とした、現実世界から枝分かれしたような世界観の異世界ファンタジー。

主人公のイザヤは、魔力の影響を受けて異常行動に駆り立てられた人間を元に戻す、魔力の「回収人」。
少し……いえ、かなり変わった相棒のエレミヤと共に、魔力が絡んだ数々の事件の真相を暴き、解決していきます。

この物語の鍵となるのが、美術品。
魔力でおかしくなった人は、デタラメに動いているわけではありません。彼らに影響を与えているのは、美術品の主題。美術品に込められたストーリーや背景、メッセージが人々の意識に作用して、それに沿った異常行動を起こしているのです。
そして実在する美術品が話のモチーフになっているのが、面白いポイント。
起こった事件からどんな美術品が関わっているかを考え推理していく面白さがありました。

そしてこのお話、実は結構はハード路線。
魔力を回収してめでたしめでたしというわけではなく、事件が解決したは良いけど、ハッピーエンドとは言い難い結末になってしまうことも。

良かれと思ってやった行動が、時に悲劇を生むこともあり、イザヤや事件に関わった人が辛い思いをする事もあります。
ですがそんな悲劇も含めて、惹き付ける魅力がありました。

ハードな異世界ファンタジーが好きな方、美術品に興味がある方は、是非読んでみてください。