美術品をモチーフとした、ハード路線の異世界ファンタジー。

魔力の暴走により、一度滅びかけた世界を舞台とした、現実世界から枝分かれしたような世界観の異世界ファンタジー。

主人公のイザヤは、魔力の影響を受けて異常行動に駆り立てられた人間を元に戻す、魔力の「回収人」。
少し……いえ、かなり変わった相棒のエレミヤと共に、魔力が絡んだ数々の事件の真相を暴き、解決していきます。

この物語の鍵となるのが、美術品。
魔力でおかしくなった人は、デタラメに動いているわけではありません。彼らに影響を与えているのは、美術品の主題。美術品に込められたストーリーや背景、メッセージが人々の意識に作用して、それに沿った異常行動を起こしているのです。
そして実在する美術品が話のモチーフになっているのが、面白いポイント。
起こった事件からどんな美術品が関わっているかを考え推理していく面白さがありました。

そしてこのお話、実は結構はハード路線。
魔力を回収してめでたしめでたしというわけではなく、事件が解決したは良いけど、ハッピーエンドとは言い難い結末になってしまうことも。

良かれと思ってやった行動が、時に悲劇を生むこともあり、イザヤや事件に関わった人が辛い思いをする事もあります。
ですがそんな悲劇も含めて、惹き付ける魅力がありました。

ハードな異世界ファンタジーが好きな方、美術品に興味がある方は、是非読んでみてください。

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