サマー・オヴ・オウルズ
藤原埼玉
プロローグ
朝焼けをカーテンが遮る暗闇の中、くすくすと忍び笑いが聞こえる。
それは息がかかるくらい近く、私の太ももに指が這われる。
姉さんの声が私の名前を囁く。体温が重なり思考力はどこかへと霧散していく。
その熱は生の証。そしてその皮下に満ち満ちる真紅のエーテルこそ。
我が恍惚。我が欲望。
お前がやってくる。官能と罪悪を従えて、私の舌の上へ降りてくる。
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