緻密に織り上げられた、上質なオリエンタルファンタジー!

 舞台となる世界観の構築が、とても細密です。暦にしても、地形にしても、その土地の産業や歴史に至るまで、細やかに作り込まれています。しかも、異世界ファンタジーに多い西洋的な雰囲気はなく、オリエンタリズムに満ちています。今までの西洋的なテンプレに飽きた人には、特にお勧めです。
 さて、世界観の情報量が多い作品ですが、人間関係も情報量が多いです。人の名前だけではなく、相関関係は複雑で、謀略や知略に満ちています。タグにはなかったと思うのですが、群像劇と言ったところでしょうか。
 最初の章で主人公だった男性は、奴隷商から一人の少年を助け、この男性と少年に間違われた二人組の男と知り合います。アサシンから命を狙われていたのです。そんな二人は、実は国家的な陰謀と関係があり、物語は次第に血生臭い様相を呈してきます。
 散りばめられた伏線が、今後どのように回収されていくのか。

 是非、御一読下さい。

 
 

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