東地中海の中世にも似た、その世界で――物語は、商人見習いのクレメンテが、仕える奴隷商の「商品」であるジルを逃がし、自らも逃走することから始まります。
そこからが――謎の青年、ナギルとサレハとの出会いが、クレメンテとジルの逃走を、物語の綾を成し、あたかもアラベスクのように、新たなる人物、戻るべき故郷など、サスペンスが、冒険が、はたまた過去へと視点が飛んで、回想の中での戦記も織りなされてきます。
熱風と波濤の東地中海、その中世という世界に似た世界に浸り、魅力的な登場人物たちと手に汗握り、この戦いの記録――戦記がつづられていく様を、ご覧になってはいかがでしょうか。
舞台となる世界観の構築が、とても細密です。暦にしても、地形にしても、その土地の産業や歴史に至るまで、細やかに作り込まれています。しかも、異世界ファンタジーに多い西洋的な雰囲気はなく、オリエンタリズムに満ちています。今までの西洋的なテンプレに飽きた人には、特にお勧めです。
さて、世界観の情報量が多い作品ですが、人間関係も情報量が多いです。人の名前だけではなく、相関関係は複雑で、謀略や知略に満ちています。タグにはなかったと思うのですが、群像劇と言ったところでしょうか。
最初の章で主人公だった男性は、奴隷商から一人の少年を助け、この男性と少年に間違われた二人組の男と知り合います。アサシンから命を狙われていたのです。そんな二人は、実は国家的な陰謀と関係があり、物語は次第に血生臭い様相を呈してきます。
散りばめられた伏線が、今後どのように回収されていくのか。
是非、御一読下さい。
がっつりと読み応えのある文章で描かれる、オリエンタルな世界の物語です。
それぞれの事情や思惑、立場から絡み合いながら進む物語。ドキドキしながら見守っています。
しっかりとした構成と描写で、本当に自分がそこにいるかのようなリアルさを感じます。
人物たちの細かい仕草が丁寧で、まるで映画を見ているかのよう……それぞれのキャラクターや性格も魅力的で、私は特にナギルさんが大好きです。
バトル描写には迫力があり、テンポも良く息を呑んで読み進めました。
是非とも紙媒体で出てほしい、そして何冊も続いてほしい!そんな作品です。
※15話読了時点でのレビューです。少し早いですが、この作品がとても好きでどうしてもお勧めしたくてつい……。
完結&読了後に編集する可能性有り。
真っ先に思ったのは紙媒体で読みたい。お金を払いたい作品だと思いました。
綿密に練られた世界観や設定、そこで生きる人々の生活、綺麗な部分に汚い部分……人間関係と、様々な心情をとても精妙に描いている作品です。
文体が力強くも秀麗で、その場の光景がありありと浮かびます。音、におい、光と陰の明確な色合いが本当に立体的でそこにある世界を深く感じられます。バトルシーンは特にすごいです!勢いがあり、気迫があり、とても興奮しました!
素晴らしく丁寧に綴られているのでweb媒体で見ると一見文章量が多く見えるかもしれませんが、リズム感が良く会話文も楽しくて、見ていて一切苦になりません。むしろしっかり読みたい方には堪らないと思います。
なにより地の文だけでなく、色濃い登場人物達の台詞回しがまた最高に格好良いです!悪党が悪党たる振る舞いをし、悪としての格好良さにゾクリとしました。人間の汚い部分の書き方がとてもお上手で、そこにも惹かれてしまいます!
この平等でない世界で足掻く人々の生き様、是非その目に焼き付けてください。