まさかRTAベースのリセットありで現実の恋愛を描くとは思わなかった

 ざっくり語れば「恋愛小説におけるハッピーエンドまで最速でたどりつこうとする物語」です。ゲームじゃなくてゲーム要素を含んだ現実世界の物語だと思ってください。しかもリセットありなので、何度でもやり直しがききます。

 さてRTAは人によっては聞きなれない略称でしょう。リアル・タイム・アタックといってツールなしのマニュアル入力限定で最速クリアを目指すジャンルになります。英語名ではSpeedrunともいわれていますね。ちなみにツールありの方は日本語名でTASです。このあたりは諸説あるので、興味のある方はご自分で検索してみてください。

 きっとこの手のマニアックなジャンルに興味のない人たちからすると「なんでゲームを早くクリアしたいんだ?」と思う人がいるかもしれません。ですが面白いんですよ、プレイするのも見るのも。基本はやり込みプレイですから、超絶技巧によるスーパープレイの連発になります。ゲーマーにとっては目の保養ですね。

 そんなマニアックなRTA業界の法則性を使って恋愛小説を描こうと思った発想力に脱帽ですね。

 
 ようやく物語そのものに触れられるんですが、主人公はもちろんゲーマーです。彼はニッチなジャンルのタイトルでRTAに挑戦して世界記録を持っています。そんな人物がゲームの神様に絡まれることで、サークルの先輩女性と恋愛小説のRTAをやることになりました。

 よくあるギャルゲーに入り込んだ物語かと思われるかもしれませんが、どちらかというとタイムリープモノに近いですね。自分の人生の最良を求めて何度でも繰り返すあたり。

 このレビューを書いた時点では、物語全体における前フリから発展に至るまでの道なので、告白RTAといいながら、どこか不穏な空気が渦巻いています。もしかしたら私には読み取れていない秘密や伏線が爆発する予兆なのかもしれません。

 告白RTAが成功するのか、それとも表題がなにかの意図を隠したもので本筋は別のものにあったと驚くのか。それを見届けるのは、このレビューを読んだあなたですよ。

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