死に戻り、リセット、コンテニュー、タイムジャンプ、もうお腹いっぱい。
昨今やりつくされた感があるテーマであり、サブ要素と上手く組み合わせないといまいちブレイクアウトしないかなと個人的には思っているのですが、なるほど本作はその原点回帰とも言えるゲームを主軸に持ってきた。
それもRTA――リアルタイムアタックときたもんだからこらアイデア一等賞。
これは一本取られたなと、始まった時から密かに期待しておりました。
今も期待を裏切らず、良い感じに青春RTAしてくれてるからすげえもんだぜ。しかも細かいゲームネタを織り交ぜてときたもんだ。作者がゲーマーじゃないとなかなか出せない作品かなと思っております。
さて。
委細は忘れたが(ぉぃ)、意中の彼女(サークルの先輩)をとられちゃった主人公。ふとしたきっかけで過去に戻ってやり直すことができるようになった彼は、彼女をとられる青春と言う名のクソゲーを、最速攻略しようと決意します。
恋愛ゲームの如く、彼女のご機嫌を取るためにリセット&どトライの連続。
だったらいいのですけれど――。
この青春ゲームのジャンルはアクションなんだな。
彼女とのグッドコミュニケーションのために、高速で坂を下り、時に乱数調整、はたまたジャンプして工事現場を飛び越え、バタフライエフェクトでエレベーターが落下する。
命がけの青春デスゲーム。
伝説の木の下で待ってるってレベルじゃねーぞ。
スペかマリ〇か、とにかくハードモードだ。
ほんと、まんま青春のRTA。このヒロイン、どれだけ攻略が難しいんだよってレベルで思いがけないデストラップがそこかしこから湧いてきます。
よくあるご都合主義のやり直しじゃない、テーマ一本筋の通ったRTAラブコメ。そういう動画がお好きな人も、ラブコメが好きな人も、両方楽しめる仕上がりとなっておりますので、安心してお読みになってください。
とはいえまだまだ物語は途中。
果たして、主人公は彼女の待つゴールという名のエンディングへたどり着けるのか。
今なら、リアルタイムにこの挑戦を観戦する権利がいただけますよ!!(オ〇ーナ)
ざっくり語れば「恋愛小説におけるハッピーエンドまで最速でたどりつこうとする物語」です。ゲームじゃなくてゲーム要素を含んだ現実世界の物語だと思ってください。しかもリセットありなので、何度でもやり直しがききます。
さてRTAは人によっては聞きなれない略称でしょう。リアル・タイム・アタックといってツールなしのマニュアル入力限定で最速クリアを目指すジャンルになります。英語名ではSpeedrunともいわれていますね。ちなみにツールありの方は日本語名でTASです。このあたりは諸説あるので、興味のある方はご自分で検索してみてください。
きっとこの手のマニアックなジャンルに興味のない人たちからすると「なんでゲームを早くクリアしたいんだ?」と思う人がいるかもしれません。ですが面白いんですよ、プレイするのも見るのも。基本はやり込みプレイですから、超絶技巧によるスーパープレイの連発になります。ゲーマーにとっては目の保養ですね。
そんなマニアックなRTA業界の法則性を使って恋愛小説を描こうと思った発想力に脱帽ですね。
ようやく物語そのものに触れられるんですが、主人公はもちろんゲーマーです。彼はニッチなジャンルのタイトルでRTAに挑戦して世界記録を持っています。そんな人物がゲームの神様に絡まれることで、サークルの先輩女性と恋愛小説のRTAをやることになりました。
よくあるギャルゲーに入り込んだ物語かと思われるかもしれませんが、どちらかというとタイムリープモノに近いですね。自分の人生の最良を求めて何度でも繰り返すあたり。
このレビューを書いた時点では、物語全体における前フリから発展に至るまでの道なので、告白RTAといいながら、どこか不穏な空気が渦巻いています。もしかしたら私には読み取れていない秘密や伏線が爆発する予兆なのかもしれません。
告白RTAが成功するのか、それとも表題がなにかの意図を隠したもので本筋は別のものにあったと驚くのか。それを見届けるのは、このレビューを読んだあなたですよ。