あるいは、令和文学の出発点
- ★★★ Excellent!!!
まずは、全ての読者は、この短編の文面に度肝を抜かれることだろう。
さらにそこには、われわれが退行している、と示唆するような眼差しすら感じられる。
そう、われわれは現代という時代のなかで、全てを見えるようにし、そしてそれに線を引き始めたのだ。
ここで描かれているのは、現代を押し広げた未来図である。単に描写するのではなく、そのコンテクストにおいて相応しい表現手段を選びとったのだ。
この単語にはこの読みでないといけない、という規則は、読み方を与えることによって、いかようにも変えられる。
その仕掛けにこそ、作者の企みが織り込まれている。ただ圧倒される一編だった。