ぶっきらぼうに始まる独白。
合法、という名のもとに人を殺していくシーンに始まるこの一篇ですが、興奮して読み進めるうちに、読者は奇妙な「違和感」を感じ取ることになります。
表面的には狂気性を伴った疾走を見せながらも、その裏では理路整然としたリアリズムが展開していくストーリーなのです。
非常に隠滅な胸糞ものの体裁をとりながらも、しっかり筋の通った風刺になっている。そのために、非常に完成度の高いショートショートになっています。しかもそれをわずか数千字でやってのけられた作者さまの理知に、してやられた気持ちでいっぱいです。
こういうテイストが大好きな私はみごとに落とされました。星3つじゃ足りません。