概要
世界を流れる川の中には、地球の記憶が眠っている……
沢渡凛平は、義理の妹の雫と共に、山道を登っていた。彼らの胸に去来するのは、若くして亡くなった凛平の弟、慎平の事であった。
生前、兄弟二人で山を登っていた時に凛平は、慎平から眉唾物の言葉を投げかけられる。
「地球上を流れる川の中には、この地球の記憶が溶け込んでいる」
二人を繋ぐ存在の慎平を失い、彼ら二人が山道を登る理由とは?
絆の存在を改めて見つめ直す、ヒューマンストーリー。
生前、兄弟二人で山を登っていた時に凛平は、慎平から眉唾物の言葉を投げかけられる。
「地球上を流れる川の中には、この地球の記憶が溶け込んでいる」
二人を繋ぐ存在の慎平を失い、彼ら二人が山道を登る理由とは?
絆の存在を改めて見つめ直す、ヒューマンストーリー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!水に命の欠片を溶かすように。
弟の嫁と主人公は、登山にやってきた。獣道で、日は傾きかけている。戻るべきか、主人公は悩んだ。
主人公は弟がこの嫁を連れて来た時、羨ましいと同時に、家族内での自分の居場所を奪われてような気分でいた。しかし、それも過去の事だ。ただ、この美しくも気立ての良い嫁に、下心がないとは言い切れなかった。
登山は元々兄弟の趣味だった。まだ弟が嫁を貰う前に、よく兄弟で山に登った。そんな中、兄弟は思いもよらず、凍ったカルデラ湖のような場所に行きつく。そこで、人間の脳が地球に似ていることなどを話したのだった。その珍しい凍てついた湖を目指して、今は弟の嫁と山を登る。
弟の嫁は流産を経験していた。明るい内は気…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それは大切な存在を失った二人が新たに歩き始めるまでの物語
流れる水には地球の記憶が溶け込んでいる……その言葉が物語の主人公達を動かしたのでしょう。
義兄と義妹……血の繋がらぬ家族である二人は、それを繋いでいた存在を失い深く傷付いていた。その二人が胸の内に抱えたどうしようもないものに区切りを付ける為、山奥にある湖を目指すのが物語の本筋です。
しかし……その過程で少しづつ思い返される幸せだった過去が物語に深みを持たせ、そして心の深い部分に語り掛けてくる。大人の物語であるが、同時に誰もが共感できる演出であることは間違いないでしょう。
辛い過去と向き合いつつ湖を目指す『夫の兄』と『弟の妻』という関係は、やがて大切な者を失った家族として強くな…続きを読む