溶けた鉄のように熱く、滴るココアのように甘く


 どんなに酷い仕打ちを受けても、翌日には記憶を失ってしまうという奴隷を買ったのは、その奴隷が美人だったから。
 毎朝彼女に事実を告げ、その絶望を煽り、凌辱し、自らの嗜虐を満たす男。だが、いつからか、何かが変わり始める。

 失われてゆく記憶と、積み重なる記憶。
 消えてしまう真実と、紡ぎだされる嘘。

 厳しい現実と幻の愛。
 本当に残酷なのはいったいどちらであろうか? 読者に想像させる余地を十分にとっているだけに、心に響く短編です。

その他のおすすめレビュー

雲江斬太さんの他のおすすめレビュー438