おまけ あの日の約束

 金の粒子を纏った強い光の線が水面に走る。それは穏やかに揺れながら、さっきまでの清々しい青の世界を、黄金色こがねいろに塗り上げていく。


 海猫がさざなみに応えて鳴き、かもめ達が連れ立って、光に向かって翼を動かす。


人のいない砂浜も、白から山吹色へと変わっていた。腿の裏に当たる夏の砂は、まだほんのりと温かい。


 ——ねえ、海斗もずっと、高校に行っても、大人になっても、ずつと泳ぐよね?

 ——うん、もっと速く、もっと深く泳げるようになる。陽子よりずっと上手くなるんだからな。

 ——なによう、今は私の方が上手いんだからね。

 ——すぐに抜くよ、見てろよ。

 ——よーし、毎年、ずっと見てるからね。ほら。


 水平線から顔を逸らして、男の子は女の子の出した小指に小指を絡ませた。


 ——ゆーびきーりげーんまーん……


 規則正しい潮騒に乗って、少年少女の高い声が波の向こうへ運ばれていく。水に広がった暖かな光の煌めきが、その約束を包むかのように。


 Fin

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海が太陽のきらり 蜜柑桜 @Mican-Sakura

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