それが私の作品に全然反映されていないように見えるのはまず一旦置いときまして。
こちらの作者様、もうたぶん読んだ方皆さん口をそろえておっしゃるのでは、と思うんですけど、もう風景の描写が抜群なんです。風景が浮かびます、ああ、美しい場所にいるんだな、って思う。
いつもどうにかこのテクニックを盗めやしないかと思ってるんですけど、なかなかそうもいかず。というのも、やはり、言葉っていうのは難しくて、表面だけさらって、ただきれいな単語を並べれば良いってもんじゃないと思うんですね。自分がその言葉をどういう意図をもって使うか、どんなメッセージを込めて相手に送るのか、そこなんだろうな、って思うわけです。
この作品の中の秋田先生も、そんな『言葉』でちょっと失敗しちゃうわけですね。でも、人間は失敗から学べる生き物ですから、彼は同じミスはすまいと行動するわけです。ラスト、ぐっと引き込まれました。ありがとうございました。
同じプロットで別々の物語を描こうと言うゆあんさんの企画、「筆致は物語を超えるか」参加作品。
この企画では様々な少女の悩みが描かれてきますけど、本作で描かれたのは、素の自分を出すことができない。誰かに求められる、優等生でいなければならないと言うものでした。
成績優秀な優等生。それだけだと聞こえはいいですけど、親の期待に応え、やりたい事をやりたいと言えないのは、窮屈で苦しいです。
もしかしたらこんな悩みを抱えている人は、多いかもしれません。
大きなひねりがあるわけではなく、等身大の高校生の悩みを真っ直ぐに描いた本作。この作品のように、苦しんでいる生徒がいたらちゃんと向き合ってくれる先生がいてくれたら、きっと救いになるはず。そう思わせてくれる作品でした。