第8話 キルス

はあ~・・オルリさん、人使いが荒いんだよね~・・


でも、性格はいいんだよ、すごく。

それに尊敬もしているし、大好きな人だ。


ただ、あまりにもカイリさんと仲が良すぎて焼けちゃうけどさ。


どうしようかな、を迎えたら、女性になろうかな?

そしたらオルリさんと・・・くっ! いいな、それも。

でも、男性としてオルリさんといるのもいいな~・・悩んじゃう。


まあ、いいやまで時間もあるし、ゆっくりと考えよう。


でも、オルリさん、不器用すぎ。

頭はいいし、気も利くのにさ・・・

惑星にナノマシン(種)を打ち込めないんだよね・・

簡単な作業なのにさ。


惑星に針を刺しすぎて、惑星に穴を空けちゃうか、

ナノマシンを惑星から飛び出させちゃうんだよね。

わざとやっているのか!と、思っちゃうよ。

本当にオルリさん、不器用なんだから・・・


そう考えて歩いているうちに無空間装置の部屋についた。

部屋に入り、無空間装置が稼働しているのを確かめる。

さて、それでは無空間装置と向き合いますか・・・


「オルリさん、どの惑星にしますか?」

「え~っとね・・・」


そう言ってオルリさんは、私の真横にくる。

うわっ、近いよ顔が・・・

まあ、のぞき窓が狭いから仕方ないんだけどさ・・

でも、整った顔がさ、目の前にくるとさ・・

えへっ、幸せ、かも・・

あ、まずい、顔が熱くなってきた・・


オルリさんは、右手を無空間にいれ光学ポインタで惑星を指す。

「これにして」

「はい!」


「ん?」

「え、何か?」

「顔、赤いよ?」

「・・・あの、その」

「具合が悪いのか?」

「・・・」

「今日はやめて休もうか?」

「いえ、大丈夫です!」


研究馬鹿のオルリさんが、私のために今日はやめる?・・・

あり得ない、何かの間違いだ!

間違い・・・、え、でも、やめると言ったよね?

いや、あの、嬉しい!

嬉しいけど・・・

いや、だめだ、後で幸福感を味わおう!

今はナノマシンの注入に集中しなくてはいけないのだ!


「・・なぁ、無理はしなくていいんだよ?」

「いえ、大丈夫です!」

「・・そう?」

「これでしたね?」

「うん。」

「とりゃ!」

「おおお、お見事!」


へへっ、褒められた!


「次は、これな」

「はい、とりゃ!」

「うん、やはりキルスは凄いな。」

「え~、そんなこと有ります!」

「ははははは」


おおおお、キルスさんの笑顔を真横で見れた。

しかも、やさしい吐息が顔にかかる。

嬉しいやら、恥ずかしいやら・・・


「なあ、顔がさらに赤くなったけど?」

「えっ?・・そうですか?」


急にキルスさんが、おでこに手を当てた。

「ひゃぁいん!」と、思わず変な声が出てしまった。

「あ、すまん、すまん。熱があるかと・・」

この言葉に思わず、下を思わず向く。


「熱は無いようだが、顔が赤いんだよな・・」

「大丈夫ですよ・・」 と、小さな声で答える。


「そうか、つきあわせて悪いが、もう少しだ、お願い。」

「はい!」


元気に返事をして作業を続ける。

こうして幸せな時間が過ぎていった。

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