第3話 生成

爆発した物質が等速度運動になってから暫く経過した。


すると、爆発の中心点あたりに半透明の右手が現れた。

手には筒のような物を持っているように見える。

筒も半透明である。

そして、その筒を徐々に突き出してくる。

突き出されるに従い、筒が徐々にはっきりと見え始める。


やがて筒だけがはっきりと見える位置で手は止まった。

手は半透明なままである。

筒は銀色に鈍く輝いている。


暫くして、筒から滴が一滴落とされた。

落ちると同時に、爆発した。


しかし、先に飛び散って等速運動をしている物質は影響をうけていない。

黙々と均一な密度で等速運動を続けていた。


爆発した滴は霧状になり急速に広がっていく。

やがて、先に爆発した物質の先端付近まで瞬時に広がった。

恐ろしい速度である。

しかし、先端に到達すると何故か先の物質と同じ速度となった。


すると、どうしたことだろう・・・

均一に広がりながら等速運動していた物質に変化が現れた。

むらができはじめたのだ。

まるで墨絵のようだ。

あたかも水に垂らした水墨のように見える。


やがて密度の高い部分は、近隣の薄い密度の物質を集め始めた。

これによりさらに濃淡がはっきりし始める。

まるで、あちこちに島ができたようだ。

置き換えていうならば、瀬戸内海の小さな島々のように見える。

ただし島といっても数光年の広さだ。


その島状の物質が渦を巻き始めた。

まるで隣の島と呼吸を合わせたかのように・・・

ゆっくりと、ゆっくりと渦が巻き始める。


まるで日本神話の島が産まれる状況のようだ。


それからさらに時間が経過した。

島状だったものは球形になっていた。

よく見ると、その球形は膨大な星々の集まりだ。


球形の中心に信じられない大きさの惑星がある。

それを核とし回りに小さい惑星が群がる。

見た目は野球のボールの構造のようだ。


その球形は回転を徐々に早くしている。

やがて遠心力で、外周の惑星が帯状に外側に広がる。

土星のような形状に変化した。

ただし、球とリングの間に隙間は無い。

そのリングは回転により、等間隔で無数にちぎれ中心から次第に伸び始めた。

やがて銀河系の形に変形していく。


さらに時間経つ。

中心の信じられない大きさの惑星は他の惑星を自分に引きつけていた。

引きつけられた惑星は、大きな惑星に衝突し、さらに大きな惑星を構成していった。

それが、なぜか突然、縮んで強烈な光を発して消えた。

その消えた場所に周辺の惑星が吸い寄せられ消える。

消えるときに、粉々となった惑星の残骸が勢いよく、直線に吹き出して行く。

やがて吸い寄せられる近くの惑星が無くなると、何事も無かったようになる。

しかし、たまに運悪く中心付近の惑星の起動がずれ中心に吸い寄せらる。

そして粉々になって飛び散ることがあった。


このような銀河が至るところで発生していた。

どうやら神は星を、銀河を作成していたようだ。

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