屋上に始まり、終わるセカイ

作者 @nora_gaeru

9

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★★★ Excellent!!!

結論から書いておきます。
本作は、全ての方に読んでもらいたい、いわゆる『傑作』です。
ネット小説の中に潜む化物作品とはまさに本作をさします。

主人公の徹はいつも、平日の昼休みを屋上で過ごします。
そこへやってきた、謎めく女性の巴さん。
彼女は、自分たち二人が「小説の登場人物に選ばれた」と告げます。

それから二人は、小説の登場人物として。
それらしい行動を模索しながら一週間を過ごします。
なぜ巴さんがこんなことを言い出したのか。
「世界が終わる」「読者に心はつつぬけ」
その言葉の裏にはどんな意味が隠されているのか。

やがて二人は物語の終焉に行き着きます。
その間の巴さんのキュートなこと!
わたしなら絶対彼女を一発ゲットです! ひと仕草ひと仕草、ひと言葉ひと言葉が読者の心に突き刺さるでしょう。物語において、現実において。彼女はキラキラと光っています。たいへん魅力的なヒロインです。巴さんの仕草と言葉を楽しむだけでも、本作を読むにはじゅうぶんな理由として機能します。

なお、本作は主に会話形式で進みます。
そのため分量に比べて、非常に軽く読んでいけると思います。
しかも、その会話がまた、すごいんですよ。
どうやってこんな言葉選んだんだろう……? とこちらがびっくりするくらいにセンスあふれる会話が並んでいるんです。
その中でも、わたしが一番好きな言葉を紹介しましょう。

「謎が謎のままなんてことは現実じゃあよくあることだよ。謎も、意味深な伏線も、回収される必然はないんだ」

これ。
もう、これね。
本作のテーマを一発で語ってくれている。過不足のない言葉で。
ぞくぞくしちゃうね。もう。

そしてラスト。
この上ないカタルシスがあなたを待ち受けています。
たいへん余韻の残る、最高質の終わりです。
わたしも「終わり」に自信をもつ作家として「や、やられたっ!」と思いました。こんなとこ… 続きを読む