見えていたはずで見えなかったもの
- ★★★ Excellent!!!
「あなたは小説の主人公に選ばれました」
あなたがそう言われたら、どう思います?
本作は小説です。だから、これはメタフィクションとして成立しています。
でも、考えれば、上の台詞は私達の日常でいつでも言えたはずです。
ヒロインは自分の言葉で日常を小説に変えていきます。
まんまと乗った主人公ですが、それでも日常と小説は違います。
日常と小説の違いをヒロインは活かしきり、作者は描ききります。
僕は読み終えたとき、日常と小説の両方が今までと違って見えました。それは目の前にあったはずなのに。
見えなかったものを見させてくれる一作です。