見えていたはずで見えなかったもの

「あなたは小説の主人公に選ばれました」
あなたがそう言われたら、どう思います?

本作は小説です。だから、これはメタフィクションとして成立しています。

でも、考えれば、上の台詞は私達の日常でいつでも言えたはずです。

ヒロインは自分の言葉で日常を小説に変えていきます。

まんまと乗った主人公ですが、それでも日常と小説は違います。

日常と小説の違いをヒロインは活かしきり、作者は描ききります。

僕は読み終えたとき、日常と小説の両方が今までと違って見えました。それは目の前にあったはずなのに。

見えなかったものを見させてくれる一作です。

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