読み手も一緒に“心”を取り戻す、春の日差しのようなファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
失った『心のしずく』を取り戻す。
それが、しずくと一緒に心を失ってしまった風花の目標でした。
しずくを集める中で、彼女を守り支える友たちが次々『精霊付き』となって、彼女の周囲はどんどん明るく賑やかになっていきます。
しかし、精霊は誰にでもつくわけではなくて——
彼らが生きる日常、そして非日常。
楽しいことばかりではないけれど、それでも皆で励まし合い、支え合いながら乗り越えていく。
物語の芯に優しさを感じるので、どんなに窮地に陥っても、どこか「きっと大丈夫」と信じて読み進めることができます。
風花はどんどんしずくを手に入れて心を取り戻していきますが、私も同じように忙しい生活で忘れていたものを思い出していくような感覚に陥ります。
登場人物一人一人のキャラが立っていて、それなのに皆どこか温かい。
タイトルからの連想かもしれませんが、こちらの作品を読んでいると、春の心地よい気候の中で日向ぼっこをしているような気分になります。
ぜひこちらの作品を読んで、風花と一緒に心を取り戻してください。