いつか蒸発する水たまりだとしても

 小学生が、毎日毎日なにかわくわくする新発見を楽しみ続けるのはある種の特権でもあり懐かしさでもある。道端の雑草を何気なくかじり、どぶ板をわざとスキップしながら飛びはね(そして時にはどぶに落ち)、消しゴムのカスから練り消しを作る。
 そんな日々は、気づいた時には干上がってしまっている。
 それでも、爪先についた泥で路面に絵を描く自分の姿をつい夢想する、大人になっても。
 必読本作。