極限のガン・アクションとは。リアリティで魅せる《読む戦争映画》

1000m越えの長距離狙撃。
一枚壁を挟んで敵と対峙する、超近接戦闘。

これは究極のリアリティと没入感を文字で読ませる「至高の戦闘小説」です。

1話目を読むあなたは、夜の森林を静かに進む兵士達の様子を目にするでしょう。
音一つ立てる事すらも命取りになる、緊迫の潜入シーンから始まります。

高度に訓練された兵士たちの動き、というのを文字で描く事は非常に難しいですが、本作は恐ろしいまでにこれらを伝えてきます。
そして、装備、兵士たちの動き、銃の操作一つ一つ、息遣いまで読み手に与えるリアリティが素晴らしいです。

狙撃、戦闘、銃撃戦―—展開されるシーンの一つ一つを「ホンモノ」に限りなく近づける。

そんな強い想いと、作者さんの弛まぬ努力と知識、そしてセンスを感じる素晴らしい作品です。

銃を持って戦う人間として「強さ」とは、一体何なのか。
人を撃ち倒す事を生業とする彼らにとって、人間らしさとは何か……そんな事も考えさせられる多彩で豊かな登場人物たちも魅力的。

デタラメなガンアクションはもちろん一切ナシ。
ご都合主義もナシ。何もかもが究極のリアリティをもって描かれる世界。

是非、響く人に読んで欲しい、ミリタリー傑作小説です。

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