美しくも煤けた、“地上”の世界

自分は一言こう表したい。
歩けば香る土壌。走れば張り付く砂塵。身体を吹き抜ける火薬。

私自身は空が専門で地上には詳しくない。どういう事をして、何をするのか漠然としたことだけだ。だけど読みながらにして、この作品が醸す独特の空気と音が、直接身体に香らせてくるものがあると感じた。それは視覚であり、触覚であると思う。例にすれば銃を持って銃で撃つ、その間に何が見えて何を撃つのか。単に撃つだけの描写では見えないモノが、ここの描写には溢れており、リアリティさにも一役買っているだろう。

そんな地上の世界をこの作品は体験させてくれるだろう。是非手に取って、その文章から漂う空気を感じて欲しい。