1000m越えの長距離狙撃。
一枚壁を挟んで敵と対峙する、超近接戦闘。
これは究極のリアリティと没入感を文字で読ませる「至高の戦闘小説」です。
1話目を読むあなたは、夜の森林を静かに進む兵士達の様子を目にするでしょう。
音一つ立てる事すらも命取りになる、緊迫の潜入シーンから始まります。
高度に訓練された兵士たちの動き、というのを文字で描く事は非常に難しいですが、本作は恐ろしいまでにこれらを伝えてきます。
そして、装備、兵士たちの動き、銃の操作一つ一つ、息遣いまで読み手に与えるリアリティが素晴らしいです。
狙撃、戦闘、銃撃戦―—展開されるシーンの一つ一つを「ホンモノ」に限りなく近づける。
そんな強い想いと、作者さんの弛まぬ努力と知識、そしてセンスを感じる素晴らしい作品です。
銃を持って戦う人間として「強さ」とは、一体何なのか。
人を撃ち倒す事を生業とする彼らにとって、人間らしさとは何か……そんな事も考えさせられる多彩で豊かな登場人物たちも魅力的。
デタラメなガンアクションはもちろん一切ナシ。
ご都合主義もナシ。何もかもが究極のリアリティをもって描かれる世界。
是非、響く人に読んで欲しい、ミリタリー傑作小説です。
自分は一言こう表したい。
歩けば香る土壌。走れば張り付く砂塵。身体を吹き抜ける火薬。
私自身は空が専門で地上には詳しくない。どういう事をして、何をするのか漠然としたことだけだ。だけど読みながらにして、この作品が醸す独特の空気と音が、直接身体に香らせてくるものがあると感じた。それは視覚であり、触覚であると思う。例にすれば銃を持って銃で撃つ、その間に何が見えて何を撃つのか。単に撃つだけの描写では見えないモノが、ここの描写には溢れており、リアリティさにも一役買っているだろう。
そんな地上の世界をこの作品は体験させてくれるだろう。是非手に取って、その文章から漂う空気を感じて欲しい。
緻密な銃器、軍事描写には思わず唸ります。硬派な文体を保ちつつも、丁寧かつ豊かな描写表現は読者を飽きさせず、想像力を掻き立てられます。
その描写を元に脳内で再生される映像はまるでゼロ・ダーク・サーティのラストシーン、あるいはローン・サバイバーのような、まさしく現代の特殊作戦を描いた戦争映画そのもの。
雰囲気づくりが素晴らしい作品です。
ただ、硬派な文体ゆえに、こういった文章を読み慣れてない方には少々読みづらさを感じるかもしれません。
しかしそのような方もどうか、少し頑張って読み進めてみてください。
何なら少々飛ばしても構いません。(作者さん申し訳ないです汗)
映画のように緊迫感のある本格的な銃撃戦シーンや、ドラマチックな展開が待っています。最悪その部分だけでも読んでいただきたいほどです。
とにかく、ミリタリー、銃撃戦、特殊部隊といった言葉に惹かれる方には、一度は目を通してほしい小説です!